東アジア歴史文化研究会

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歴史の書き換えはすでに始まっている

「韓国の社会主義化や北朝鮮化が進行中 文大統領と保守派のせめぎ合いに注目」(『週刊ダイヤモンド』2018年3月17日号 櫻井よしこ)

2018-03-18 | 韓国の歴史・韓国情勢
2018.03.17 (土)

南北朝鮮の動きが急である。2月9日に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正氏が訪韓、韓国の文在寅大統領の特使団が3月5日に訪朝し、翌日には、板門店の韓国側施設で四月末に首脳会談を開くと発表した。

韓国代表団代表、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が北朝鮮は朝鮮半島非核化の意思を明確にしたと明言。発表内容の中で重要なのは、(1)北朝鮮は体制の安全が保障されれば核を保有する理由がないと述べた、(2)米韓の合同軍事演習を例年規模で実施することは理解する、(3)核兵器や通常兵器を韓国に向かって使用しない、であろうとも述べた。

南北間のホットライン開設や、北朝鮮は米国と虚心坦懐に話し合う用意があることなども合意、表明された。

4時間半の会談と宴席、正恩氏が振りまく笑顔が、これまでの悪魔的粛清の数々と鋭い対照を成す。この20年余、核・ミサイル廃棄を目指すとの彼らの言葉を信じて、その度に、日本や米国などは食料、エネルギー、経済援助を実施した。しかし結果は、日本や韓国を狙う数百基のミサイルと、少なくとも20発とみられる核弾頭を持った北朝鮮の出現だった。

安倍首相の言葉を思い出す。対話と圧力が必要だが、いま重要なのは圧力だという言葉だ。

今回の手の平を返したような柔軟姿勢と大幅譲歩は、正恩氏がいかに切羽詰まっているかの証左だ。安倍首相の圧力政策が功を奏したのだ。改めて、今回は騙されてはならないと思う。冷静な検証こそ大事だ。

それにしても南北朝鮮の間でどんな連携が進行中なのか。たとえば米韓合同軍事演習は通常の規模なら理解するという言明の意味は何か。

文大統領は当初から、北朝鮮の核保有は許容しないという米国の固い意志を北朝鮮側に伝えている。文氏は、米国から平昌五輪が終われば合同軍事演習を行うことも言われていた。米国を無視することは、文氏もできない。

米軍は合同軍事演習実施の強い意志を示しており、文氏の北朝鮮への特使団も、米国の意志を曲げさせることはできないと伝えたはずだ。一方、北朝鮮には元々、米側の演習実施の意志を弱めさせることなどできない。ならば、「理解する」と言って受け入れる方が得である。

そのような相談が南北間で行われたのではないかとさえ思われる。米国に逆らわず、時間稼ぎをして、南北融和を進め、朝鮮民族としてまとまる流れを作りたい。そんな思惑が読みとれる。

文氏による憲法改正の企ては本欄でも御紹介したが、その詳しい内容を朝鮮問題専門家の西岡力氏が解説した。

「文氏が考えているのは憲法の全面的書き換えです。韓国を全く異なる国にしようとしています。たとえば憲法前文には、韓国は自由民主主義的基本秩序の国だと書かれています。ここにある『自由』を消してただの民主主義的にする。そうすれば、北の朝鮮民主主義人民共和国と符号が合います」

その他にも文氏は以下のような改正を目指している。「国民の権利」を「人間の権利」に書き換える。これは北朝鮮の故金日成氏の主体思想の「人間中心」に合わせるためだとみられている。他方、「分権国家」の項を書き加えるのは、南北朝鮮政府を各々分権政府と位置づけて、両方を合わせて連邦政府を作ろうとする試みとみられている。

つまり文氏は、少なくとも理念において、韓国を北朝鮮風の国に作り変えようとしているのだ。氏は早くも昨年8月に「憲法改正特別委員会」を設置してこのような研究を始めていた。連邦制を経て統一国家を目指す中で、韓国の社会主義化、北朝鮮化が着々と進行中とみてよいと思う。警戒すべきは北朝鮮の正恩氏だけでなく、韓国の文氏でもある。韓国内の文氏と保守派のせめぎ合いに注目するときなのである。

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