東アジア歴史文化研究会

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう
歴史の書き換えはすでに始まっている

南欧もまた中国の進出を「投資歓迎」と受け入れ イタリア、スペイン、そしてポルトガルは中国に前向き(宮崎正弘国際ニュース早読み)

2018-11-03 | 中国事情・中国情勢
オランダの首都アムステルダムは駅から歩いて五分ほど。運河沿いの一帯が、いわゆる「レッドライト・ディストリクト」(赤線地帯)である。というより「飾り窓の女」で世界的に有名である。ガラス越しにホットパンツの若い女性が客を待つ。アフリカ系、アジア系が目立つ。問題は、その奧の路地である。な、なんと、ここがアムステルダムにおけるチャイナタウンである。

誰もが嫌がる地区に、中国人は猛然と縄張りを拡げ、レストラン、安宿、そして道教の寺院が並び、気がつけば飾り窓の狭間にも進出していたのだ。

フランスでは北部の一部の村がチャイナタウンと化け、またパリでも中華レストランが集中する地区では「外国人はでていけ」とデモ行進があった。

英国はどうかと言えば、各地に小規模なチャイナタウンがあるが、本格的な、横浜中華街に匹敵するのが、ロンドンのど真ん中に拓けたチャイナタウンだ。飲茶、上海、広東料理、浙江省紹興の壺入り紹興酒もある。

郊外や新都心で高層マンション、ビジネス複合ビル、ショッピングモールを建設しているのは華僑資本。とりわけ香港最大財閥「長江実業」(李嘉誠の本丸)は新都心の一角すべてを開発し、英国のエネルギー企業も買収した。

メイ首相は女性宰相として辣腕を振るったサッチャーに遠く及ばず、閣内もまとめきれないで、レイムダックいり。BREXIT交渉は遅れに遅れている。

ドイツはべったり「中国漬け」となってしまった、「ドイツ銀行」と「フォルクスワーゲン」が問題の中心である。このドイツ銀行の最大株主は王岐山系の「海航集団」である。

年間350万台を中国で販売するフォルクスワーゲンに巨額融資を行っているのは中国工商銀行だ。このため「人権」に五月蝿い筈のメルケル首相は十数回も北京に行きながら、人権についてはアリバイ証明的に述べるだけで、おざなり。とうとう地方選挙に連敗し、「さようなら! メルケル」と国民から弔鐘をならされた。

中国はこのほか、ロボット企業を買収し、クーガ社にも買収を仕掛けたが、ようやく国家安全保障上の脅威と認識したメルケルは、この買収を阻止した。デュッセルドルフに近い飛行場の運営権も中国企業に売却した。

港湾や空港の管理運営権利を中国に売却すると、どうなるかといえば、ギリシアのピレウス港の悪例がある。インボイスの誤魔化し、申告しない量の物品が陸揚げされるばかりか、人の密輸も行われているとEUはギリシアに警告した。

▼カソリック、のんびり派の南欧では

さて南欧である。イタリアはすでに古都プラトーの皮革工場などが中国人に乗っ取られ、イタリアの有名ブランドの輸出の多くが華僑の利権となった。プラトーにはいつのまにか五万人の中国人が住み着き、学校へ行くと半数以上が中国人子弟となっていた。イタリアは人道上、移民排斥が出来ないため、脱税を名目に手入れを行ったが、不正行為は氷山の一角に過ぎなかった。

世界的なタイア製造で知られるピエリを中国資本が買収したほか、エニ、エネルとか、イタリア電力の35%株主、そしてフィアットの株主となった。いくら楽天的なイタリア人でも、あまりのことに悲鳴を挙げる。それがイタリアでナショナリズムの回復を訴えた「五つ星運動」の勝利に結びついた。北部同盟と連立し、イタリア政権は反移民政党が担うほどに政治的環境が換わった。変えた要因のひとつが反中感情である。イタリアは予算案の訂正をEU委員会から勧告されたが、応じる気配がない。

ポルトガルでは中国三峡集団がエネルギー大手「EDP社」の筆頭株主に踊りでた。ほかにも幾つかのエネルギー関連子会社、そしてフラッグ・キャリアの「アエロス・ポ−チュギューズ」やフィデリダート(保険大手)などの株式を取得した。基幹の航空会社が風前の灯火なのである。病院や不動産企業も買収、なかでもマカオ拠点のKNGファンドがポルトガルの新聞二社の株式30%を取得した。ポルトガルは地中海と大西洋の中継港として先約的価値のあるシネス・ポルト港のリースをめぐって中国と交渉に入るとし、12月の習近平訪問に備える。

こうして南欧諸国に巨額を投じる中国。効果は覿面で、国連や國際会議の場でも、これら南欧諸国から中国批判の声が殆ど聞こえなくなった。ASEANにおけるカンボジアのように北京の代理人に成り下がる怖れがある。そればかりかギリシアなどはEU委員会の勧告に従わず、イタリアでも親中派の経済学者が通商次官に任命されるなど、地中海における中国の代理人的な役割を担う人たちが増えた。

ちょうど日本にも、与党、その連立政権の相棒、ならびに財界主流が、これほどの国際環境の変化にも関わらず、日中友好の幻影に酔っぱらって、「一帯一路」への協力と「日中通貨スワップ」の締結をあの手この手で、安倍首相に迫った。こうした見えない手を使う政治的力学、その環境がよく似ている。
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