花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

「北朝鮮の核実験強行に思う」

2013年02月19日 16時27分44秒 | ちょっと気になること
北朝鮮が核実験をしたことに対して、世界各国が非難しています。 
日本は世界唯一の被爆国であり核実験が「悪」という思想から北朝鮮を非難するのは当然のことですが、核保有国である、米国、中国、ロシアが北朝鮮を厳しく非難していますし、国連安全保障理事会も、今回の北朝鮮の核実験を過去の安保理決議への「重大な違反」であり、「適切な措置」を講じるとの非難声明を発表しています。現在の安全保障理事会の構成は次の通り。
<常任理事国(5カ国)>
  アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国。
<非常任理事国(10カ国)>
  パキスタン、 トーゴ 、モロッコ、 グアテマラ、アゼルバイジャン、
  オーストラリア、 ルクセンブルク、アルゼンチン、 ルワンダ、韓国。

核拡散防止条約(Nuclear Non-Proliferation Treaty、略称:NPT)締結国は190カ国と世界のほとんどの国が締結していますが、「核兵器国(保有、または保有することができる国)」を安保理常任理事の5カ国に限定し、他の加盟国は「非核兵器国(保持しておらず、また保持が許されない)」に峻別されています。さらに、「非核兵器国」は、核保有国を5カ国以外には認めないという“核不拡散”を大義名分に、国際原子力機関(IAEA)による査察を受け入れることが義務付けられています。「非核兵器国」である日本もIAEAによる定期査察、および不定期査察を毎年受けています。「核兵器国」5カ国は、その趣旨から当然IAEAの査察は受けません。すなわち、5カ国は“安保理事会常任理事・核保有・IAEA査察免除”という3つの特権を有しています。

NPT締結国の「核兵器国5カ国」以外で北朝鮮は唯一“核兵器保有国”です。(イラクは核疑惑で米国の攻撃を受け“核兵器非保有国”になりました) 「核兵器国5カ国」以外で核保有とみなされる国は次の通り。
・北朝鮮:IAEA<2002年査察官追放、その後査察団受け入れ>、  
NTP締結<2003年脱退を宣言したが国際社会は公式には認 めていない>
・インド、パキスタン、イスラエル:IAEA加盟、NTP非締結。

北朝鮮の核実験へのインド、パキスタン、イスラエルの3国の反応が注目されますが、パキスタン外務省は声明で、「遺憾の意」を表明し、「すべての国がおのおの国際的義務を順守する必要があると考える」と強調しています。核兵器のない朝鮮半島を支持するとしたほか、6カ国協議の重要性にも言及しました。
インド外務省は声明で、「北朝鮮自身が国際的に約束したことに反する行為で、重大な懸念事項だ」と非難しました。イスラエルは沈黙を守っています。なお、核疑惑が指摘されているイラン(NPT締結、IAEA加盟)は外務省報道官が記者会見で「いかなる国も核の軍事利用を行ってはならない」と述べて、北朝鮮を非難しました。

要するに、核兵器保有5カ国は、「核保有国の特権保持」から、そろって反対していますし、インド、パキスタン両国は、安保理決議やNTP加盟国である北朝鮮への条約遵守違反を理由に核実験に反対しており、北朝鮮の核実験は、(イスラエルを除く)核を保有する世界のすべての国から非難されていることがわかります。核保有国が増えていくことや核をめぐってこれ以上、国際秩序を乱すことに各国は懸念を表明しています。

なんだか、核抑止力による国際紛争の防止という核を持つ者の身勝手に思えてなりません。北朝鮮の立場からは、核実験を行うか否かは、国家としての自主的な権利ではないかとも思えます。インド・パキスタン、イスラエルの例もあります。 

金日成・金正日・金正恩の3代にわたる軍事専制国家である北朝鮮は、実質的に経済破綻国家で、中国の援助なしでは存続しえない属国になり果てているようですが、その中国の制止をも振り切って核実験を強行した背景が重要です。 中国の属国状態から脱却して、核保有国として、アメリカと対等な立場で交渉することで、大国として世界各国に認めさせること、さらに、拉致問題がトゲになっている日本とは、アメリカの圧力で日本に北朝鮮との国交を回復させし、日本から巨額の賠償金の獲得と経済協力を企図しているのではないかと思えます。

日本では、北朝鮮の核実験に追加制裁を課す強硬な意見が強まっていますが、日本が北朝鮮を始め、いかなる国の核実験に強く抗議することは当然ですが、北朝鮮への新たな経済制裁を発動るなどは見送くり、国交樹立に向けた水面下の動きを模索すべきではないでしょうか。 アメリカと北朝鮮の本心を察知しながら、あえて、日本が北朝鮮と国交樹立することが北東アジアの安定につながり、日本の対中国・対韓国外交への強力なカードになるものと思います。

(2013年2月19日  花熟里)



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