8月17日はインドネシアの65回目の独立記念日です。 1945年6月1日に
スカルノは独立準備委員会で「パンチャシラの誕生」という演説を行い、この中で、
5つの原則を示し、これらを貫く基本は「ゴトンロヨン(gotong royong)」であると
言っています。
ゴトンロヨンは.「相互扶助」と訳されていますが、スカルノは新国家の理想像を
ゴトンロヨンの精神に求めました。
インドネシアの国章は「ガルーダ・パンチャシラ」とよばれています。 インドネシア
では官公庁をはじめ民間の事務所、工場などにはすべて国章であるガルーダを挟んで
正副大統領の写真が飾ってあります。
国営の航空会社は「ガルーダ・インドネシア航空」です。 また、深田裕介著の小説
「神鷲(ガルーダ)商人」(新潮文庫)でガルーダという言葉をご存知の方も多いと思
います。
ガルーダはインド神話の中に出てくる神鳥で、ヴィシュヌ神の乗り物です。 イスラム
伝来のはるか以前からインドネシの国民(住民)にとっては、神聖な尊崇の対象となって
います。
ヒンドゥー教寺院やバリ島に残されている伝統的なガルーダが、‘人間の体に鷹の頭・
くちばし・翼・爪’を備えた神聖な生き物として描かれているのに対して、国章の
ガルーダは、1950年2月1日にカリマンタン(ボルネオ)島のポンティアナックの
スルタン ハーミド2世のデザインによるものですが、ジャワ島のクマタカをイメージ
したものとなっています。
またガルーダは仏教神話でも描かれており、仏教伝播にともない、アジアの各地で尊崇
されてきました。 タイのアユタヤ王室の紋章でもあり、現在のタイ王国の国章にも
引き継がれています。
(山田長政を描いた「風雲児」(白石一郎著:文春文庫)の中に、アユタヤ王室の紋章
のガルーダの記述があります。*)
なお、モンゴルの首都ウランバートル市の紋章もガルーダです。
*「アユタヤ王室の御座船の船首は王室の象徴であるガルーダと呼ばれる鳥の首の形
に金箔をほどこした華麗なつくりだった。」(下 p165)
インドネシアのガルーダ・パンチャシラは、胸に盾があり足で巻物をつかんだ黄色の鳥
で、次の通り説明されています。
・足の巻物:「BHINNEKA TUNGGAL IKA」と書いてありますが、’多様性の中の統一
‘と訳されており、多民族・多言語・多宗教を乗り越えて統一国家を目指すという、
インドネシアの理念になっています。
・盾は5つに区分されており、それぞれはパンチャシラ5原則を意味しています。
<中央部の黒い地に金色の星>
パンチャシラ第1原則 「唯一神への信仰」
<右上の白い地に熱帯樹ブリンギン(beringin)>
パンチャシラ第3原則 「インドネシアの統一」
<左上の赤い地に野牛(banteng)>
パンチャシラ第4原則 「協議と代議制における叡智に導かれた民主主義」
<右下の赤い地に円形の鎖>
人間の世代間のつながりを示しパンチャシラ第2原則 「公正で文化的な人道主義」
<左下の白い地に金の稲穂と白い綿花>
パンチャシラ第5原則 「インドネシア全国民に対する社会的公正」
(インドネシアの国章)
(タイ王国の国章)
日本の国章は何でしょうか。法令上の明確には決められていませんが、次の3種類が
慣例的に国章に準じて使われていまうす。
・「十六八重表菊」(天皇家の家紋)
・「五七桐花紋」(政府や皇室の慣例的な紋章。政府の記者会見などに使われています)
・「十六一重表菊」 パスポートに使用されています。
(十六八重表菊)
(五七桐花紋)
(十六一重表菊)
以下は「じゃかるた新聞(2001年8月11日)」の記事の抜粋です。
スカルノ初代大統領の長女でもあるメガワティが第5代大統領就任に当たり新内閣を
「ゴロンロヨン」内閣と命名しました。 インドネシア社会におけるゴトンロヨンの重
要さがよくわかると思います。
『メガワティ大統領は十日午前十時から大統領官邸に新閣僚を招き、就任式を行った。
大統領は閣僚への訓示でも相互扶助(ゴトンロヨン)精神を強調、「現在の危機を脱す
ることができるよう、ともに、一生懸命働こう」と呼びかけた。アブドゥルラフマン
前政権の閣僚や議会、国軍の幹部らが出席して新政権の発足を祝い、挙国一致の体制で
船出することを印象づけた。
(略)
イスラム、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー、仏教のそれぞれの宗教のやり方
で、就任の宣誓をした 大統領は「ゴトンロヨン」内閣と名付けたが、これはただの
名前ではない。ゴトンロヨンはインドネシアの社会、家族、国家の核だ。ゴトンロヨン
の意味を理解してほしい。私は最善の閣僚を選んだ。現在の危機を脱するため、私的な
利益はおいて、ゴトンロヨンを実践し、腕まくりして働こう」と語った。』
<2010年8月11日 ☆きらきら星☆>
スカルノは独立準備委員会で「パンチャシラの誕生」という演説を行い、この中で、
5つの原則を示し、これらを貫く基本は「ゴトンロヨン(gotong royong)」であると
言っています。
ゴトンロヨンは.「相互扶助」と訳されていますが、スカルノは新国家の理想像を
ゴトンロヨンの精神に求めました。
インドネシアの国章は「ガルーダ・パンチャシラ」とよばれています。 インドネシア
では官公庁をはじめ民間の事務所、工場などにはすべて国章であるガルーダを挟んで
正副大統領の写真が飾ってあります。
国営の航空会社は「ガルーダ・インドネシア航空」です。 また、深田裕介著の小説
「神鷲(ガルーダ)商人」(新潮文庫)でガルーダという言葉をご存知の方も多いと思
います。
ガルーダはインド神話の中に出てくる神鳥で、ヴィシュヌ神の乗り物です。 イスラム
伝来のはるか以前からインドネシの国民(住民)にとっては、神聖な尊崇の対象となって
います。
ヒンドゥー教寺院やバリ島に残されている伝統的なガルーダが、‘人間の体に鷹の頭・
くちばし・翼・爪’を備えた神聖な生き物として描かれているのに対して、国章の
ガルーダは、1950年2月1日にカリマンタン(ボルネオ)島のポンティアナックの
スルタン ハーミド2世のデザインによるものですが、ジャワ島のクマタカをイメージ
したものとなっています。
またガルーダは仏教神話でも描かれており、仏教伝播にともない、アジアの各地で尊崇
されてきました。 タイのアユタヤ王室の紋章でもあり、現在のタイ王国の国章にも
引き継がれています。
(山田長政を描いた「風雲児」(白石一郎著:文春文庫)の中に、アユタヤ王室の紋章
のガルーダの記述があります。*)
なお、モンゴルの首都ウランバートル市の紋章もガルーダです。
*「アユタヤ王室の御座船の船首は王室の象徴であるガルーダと呼ばれる鳥の首の形
に金箔をほどこした華麗なつくりだった。」(下 p165)
インドネシアのガルーダ・パンチャシラは、胸に盾があり足で巻物をつかんだ黄色の鳥
で、次の通り説明されています。
・足の巻物:「BHINNEKA TUNGGAL IKA」と書いてありますが、’多様性の中の統一
‘と訳されており、多民族・多言語・多宗教を乗り越えて統一国家を目指すという、
インドネシアの理念になっています。
・盾は5つに区分されており、それぞれはパンチャシラ5原則を意味しています。
<中央部の黒い地に金色の星>
パンチャシラ第1原則 「唯一神への信仰」
<右上の白い地に熱帯樹ブリンギン(beringin)>
パンチャシラ第3原則 「インドネシアの統一」
<左上の赤い地に野牛(banteng)>
パンチャシラ第4原則 「協議と代議制における叡智に導かれた民主主義」
<右下の赤い地に円形の鎖>
人間の世代間のつながりを示しパンチャシラ第2原則 「公正で文化的な人道主義」
<左下の白い地に金の稲穂と白い綿花>
パンチャシラ第5原則 「インドネシア全国民に対する社会的公正」
(インドネシアの国章)
(タイ王国の国章)
日本の国章は何でしょうか。法令上の明確には決められていませんが、次の3種類が
慣例的に国章に準じて使われていまうす。
・「十六八重表菊」(天皇家の家紋)
・「五七桐花紋」(政府や皇室の慣例的な紋章。政府の記者会見などに使われています)
・「十六一重表菊」 パスポートに使用されています。
(十六八重表菊)
(五七桐花紋)
(十六一重表菊)
以下は「じゃかるた新聞(2001年8月11日)」の記事の抜粋です。
スカルノ初代大統領の長女でもあるメガワティが第5代大統領就任に当たり新内閣を
「ゴロンロヨン」内閣と命名しました。 インドネシア社会におけるゴトンロヨンの重
要さがよくわかると思います。
『メガワティ大統領は十日午前十時から大統領官邸に新閣僚を招き、就任式を行った。
大統領は閣僚への訓示でも相互扶助(ゴトンロヨン)精神を強調、「現在の危機を脱す
ることができるよう、ともに、一生懸命働こう」と呼びかけた。アブドゥルラフマン
前政権の閣僚や議会、国軍の幹部らが出席して新政権の発足を祝い、挙国一致の体制で
船出することを印象づけた。
(略)
イスラム、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー、仏教のそれぞれの宗教のやり方
で、就任の宣誓をした 大統領は「ゴトンロヨン」内閣と名付けたが、これはただの
名前ではない。ゴトンロヨンはインドネシアの社会、家族、国家の核だ。ゴトンロヨン
の意味を理解してほしい。私は最善の閣僚を選んだ。現在の危機を脱するため、私的な
利益はおいて、ゴトンロヨンを実践し、腕まくりして働こう」と語った。』
<2010年8月11日 ☆きらきら星☆>