花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

ガルーダ・インドネシア(国章)

2010年08月11日 14時45分32秒 | インドネシア
8月17日はインドネシアの65回目の独立記念日です。 1945年6月1日に

スカルノは独立準備委員会で「パンチャシラの誕生」という演説を行い、この中で、

5つの原則を示し、これらを貫く基本は「ゴトンロヨン(gotong royong)」であると

言っています。

ゴトンロヨンは.「相互扶助」と訳されていますが、スカルノは新国家の理想像を

ゴトンロヨンの精神に求めました。
 

インドネシアの国章は「ガルーダ・パンチャシラ」とよばれています。 インドネシア

では官公庁をはじめ民間の事務所、工場などにはすべて国章であるガルーダを挟んで

正副大統領の写真が飾ってあります。 

国営の航空会社は「ガルーダ・インドネシア航空」です。 また、深田裕介著の小説

「神鷲(ガルーダ)商人」(新潮文庫)でガルーダという言葉をご存知の方も多いと思

います。



ガルーダはインド神話の中に出てくる神鳥で、ヴィシュヌ神の乗り物です。 イスラム

伝来のはるか以前からインドネシの国民(住民)にとっては、神聖な尊崇の対象となって

います。

ヒンドゥー教寺院やバリ島に残されている伝統的なガルーダが、‘人間の体に鷹の頭・

くちばし・翼・爪’を備えた神聖な生き物として描かれているのに対して、国章の

ガルーダは、1950年2月1日にカリマンタン(ボルネオ)島のポンティアナックの

スルタン ハーミド2世のデザインによるものですが、ジャワ島のクマタカをイメージ

したものとなっています。


またガルーダは仏教神話でも描かれており、仏教伝播にともない、アジアの各地で尊崇

されてきました。 タイのアユタヤ王室の紋章でもあり、現在のタイ王国の国章にも

引き継がれています。 

(山田長政を描いた「風雲児」(白石一郎著:文春文庫)の中に、アユタヤ王室の紋章

のガルーダの記述があります。*)

なお、モンゴルの首都ウランバートル市の紋章もガルーダです。


 *「アユタヤ王室の御座船の船首は王室の象徴であるガルーダと呼ばれる鳥の首の形

   に金箔をほどこした華麗なつくりだった。」(下 p165)



インドネシアのガルーダ・パンチャシラは、胸に盾があり足で巻物をつかんだ黄色の鳥

で、次の通り説明されています。

・足の巻物:「BHINNEKA TUNGGAL IKA」と書いてありますが、’多様性の中の統一

‘と訳されており、多民族・多言語・多宗教を乗り越えて統一国家を目指すという、

 インドネシアの理念になっています。


・盾は5つに区分されており、それぞれはパンチャシラ5原則を意味しています。

<中央部の黒い地に金色の星>

  パンチャシラ第1原則 「唯一神への信仰」

<右上の白い地に熱帯樹ブリンギン(beringin)>

  パンチャシラ第3原則 「インドネシアの統一」

<左上の赤い地に野牛(banteng)>

  パンチャシラ第4原則 「協議と代議制における叡智に導かれた民主主義」

<右下の赤い地に円形の鎖>

  人間の世代間のつながりを示しパンチャシラ第2原則 「公正で文化的な人道主義」

<左下の白い地に金の稲穂と白い綿花>

  パンチャシラ第5原則 「インドネシア全国民に対する社会的公正」



(インドネシアの国章)





(タイ王国の国章)






日本の国章は何でしょうか。法令上の明確には決められていませんが、次の3種類が

慣例的に国章に準じて使われていまうす。

・「十六八重表菊」(天皇家の家紋)

・「五七桐花紋」(政府や皇室の慣例的な紋章。政府の記者会見などに使われています)

・「十六一重表菊」 パスポートに使用されています。


(十六八重表菊)



(五七桐花紋)




(十六一重表菊)





以下は「じゃかるた新聞(2001年8月11日)」の記事の抜粋です。

スカルノ初代大統領の長女でもあるメガワティが第5代大統領就任に当たり新内閣を

「ゴロンロヨン」内閣と命名しました。 インドネシア社会におけるゴトンロヨンの重

要さがよくわかると思います。



『メガワティ大統領は十日午前十時から大統領官邸に新閣僚を招き、就任式を行った。

大統領は閣僚への訓示でも相互扶助(ゴトンロヨン)精神を強調、「現在の危機を脱す

ることができるよう、ともに、一生懸命働こう」と呼びかけた。アブドゥルラフマン

前政権の閣僚や議会、国軍の幹部らが出席して新政権の発足を祝い、挙国一致の体制で

船出することを印象づけた。

  (略)

イスラム、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー、仏教のそれぞれの宗教のやり方

で、就任の宣誓をした 大統領は「ゴトンロヨン」内閣と名付けたが、これはただの

名前ではない。ゴトンロヨンはインドネシアの社会、家族、国家の核だ。ゴトンロヨン

の意味を理解してほしい。私は最善の閣僚を選んだ。現在の危機を脱するため、私的な

利益はおいて、ゴトンロヨンを実践し、腕まくりして働こう」と語った。』




<2010年8月11日 ☆きらきら星☆>
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