水の中で、音が一匹、跳ねまわっていた。 それは高音だ! 陽気だ! ネオンの洪水が、ついに、俺らを飲み込んでしまう前に、 水の中の音は、きっと幻覚を味わせてくれることだろう。 屋根の上に水みたいなオレンジ色のゼラチンが垂れ下がっていてね、 とってもシャープなんだ。 この景色を食えたらなぁ。 この絵を吸収できたらなぁ。 文字で、ひとつの絵を書くのだ。 水玉の中の老人と少女。 枯れ葉の舞う庭を、マントルピースの置き時計を、 ちらちら見ながら想う、年老いた優しい伯爵夫人。 彼女はサモワールの沸き立つ音をききながら、懐かしい青春の出来事を含んでいる。 彼女は編物をしているのだ。秋の夕陽がレースのかかった大きな窓から、 屈折させられて、ゴーカな室内を色づける。 少女だった頃の彼女と、放浪した頭のおかしな老人。 2人でポーチの石段にしゃがんで、 この日と同じ様な赤い夕陽を、地平線に見た、あの時間。 もう、たくさんの時のひだの中に、半分以上うもれてしまい、 彼女だけが、その記憶の保持者なのだ。 頭のおかしな老人は、とうの昔に死んだ。 そして、2人だけの、あの時の人生への決意。 彼女達は泣いた。 おお、なんと、古めかしきディケンズ的、 19世紀全英国人を感激の涙に誘い込んだディケンズ。 紙の月。 あああああああああああああああああああああああ! 思考が、意識が、憂鬱が、目から耳から毛穴から、 全ての通用口から洩れてきて、 苦しい、苦しい、火のようだ。 頭を切り裂いてしまいたい! 嫌な奴を、毎日一人づつ、叩き殺していきたい! くそっ!日本の独自の過去を、までも西欧感覚で埋め尽し、 虚構の歴史を、その中の人間の精神構造を、 現代人の志向のままに、つくりだそうとしている! 何という事だぁぁああああああああああああああああ! 昔、日本人は外人だったのです!っとぉおおおおお! 現状の幻化にあきたりぬ我々は過去の幻化にまで、 偽の触手をのばそうとしているのだぁあぁぁああああ! イケてりゃ、いいってぇのか?WE ARE NO.1 立ち上がれぇぇぇええええ! 高き孤独の理想を掲げる広き人々よぉぉおおおおお! 我々は、さらに幻覚の上に文化を築こうと、しているのだぞ。 気分による、歴史の操作。なんじゃ、そりゃぁあああ! 緊張の刹那的緩和だけに生きてる若者へぇぇぇええ! “バッカヤローーーー!!” もっと緊張して、生活思想を大事にして目を配るのだ。 目を配るのだ。 目を! もやの中を、いつも見るのだ! フフ。 |
kipple
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