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映画『The Lady ひき裂かれた愛』を観て

2012-08-01 23:39:16 | ヨーロッパ映画

12-62.The Ladyアウンサンスーチー、ひき裂かれた愛
■原題:The Lady
■製作年、国:2011年、フランス
■上映時間:133分
■字幕:松浦美奈
■観賞日:8月1日、ヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷)

 

□監督:リュック・ベッソン
◆ミシェル・ヨー(アウン・サン・スーチー)
◆デヴィッド・シューリス(マイケル・アリス)
◆ジョナサン・ラゲット(キム)
◆ジョナサン・ウッドハウス(アレックス)
◆スーザン・ウールドリッジ(ルシンダ)
◆ベネディクト・ウォン(カーマ)
◆フトゥン・リン(ネ・ウィン将軍)
◆アガ・ポエチット(タン・シュエ)
【この映画について】
非暴力を貫いてミャンマーの民主化に挑み、アジア人女性初となるノーベル平和賞を授与された活動家、アウン・サン・スーチーの実録ドラマ。長きにわたる同国軍事政権との戦いと、それを支えてきたイギリス人の夫と息子たちとのきずなを、『レオン』『フィフス・エレメント』などのリュック・ベッソン監督が重厚なタッチで映し出していく。
『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』のミシェル・ヨーが、ビルマ語のセリフを完全習得するだけでなく、本人のしぐさやなまりまでも研究し熱演。共演は『ネイキッド』のデヴィッド・シューリス。(この項、シネマトゥディより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ビルマ(現ミャンマー)建国の勇士として亡き後も国民から敬愛されている将軍を父に持つ、アウン・サン・スーチー。1988年、母の看病のためにイギリスから祖国のビルマへと戻った彼女は、軍事政権が若者たちの民主主義運動を弾圧するのを目の当たりにしてショックを受ける。そんな中、民主主義運動家たちが彼女の帰国を知って選挙への出馬を訴える。彼らの切実な思いを知って立候補を決意し、民衆の前に立つスーチーだが、それを機に軍事独裁政権から想像を絶する圧力をかけられ……。

スーチーは英国で夫と二人の息子に囲まれて過ごしていたのだが、母の容体が悪化したことに伴い母国へ緊急帰国したことで運命が変ってしまうとは、その時点では予想もしていなかっただろう。既に母国はビルマからミャンマーへと独裁政権によって国名まで変えられていて、帰国した時は国内には不穏な空気が漂っていた。
母の入院先の病院の周囲には軍が鎮圧したデモ隊の学生が血だらけになって病院へと運ばれて行く姿を見てスーチーは母国の現状を知り唖然とする。その後、英国から家族も合流し、何時の間にか「建国の父」アウン・サン将軍の娘スーチーが帰国していた事実が知れ渡ると、選挙への出馬を求める声が日増しに強まって行った。

ここからは軍事政権側と国民の期待感が拡がる間を行ったり来たりが続くのだが、最初は建国の父の娘と言う国民の期待と自分は一介の主婦に過ぎないとの狭間で悩みながらも、彼女の中に流れる父の血が彼女を徐々に政治への道と目覚めさせる。当初はぎこちなかった演説も回数をこなすうちに民衆を引きつけて行くようになり、そうなると今度は軍事政権側から見れば「危険人物」とのレッテルを貼られ、自宅軟禁を強いられ自由を奪われる。
それでも家族の愛に支えられ、愛する夫が英国で病床に倒れて帰国看病出来ない辛さを味わいながらも祖国を思う強い意志は変ら無かった。その間にもノーベル平和賞受賞の知らせがもたらせるが、授賞式に出席したのは夫と息子たちだった。スピーチの様子を隠し持っていたラジオで電池が無くなるのを心配しながら使用人と2人で聴いている姿が感動的だった。

スーチーさんの生涯について我々日本人はあまり知らない。彼女が2年位京大に留学していたことは知っているが、この映画では冒頭に父から柔和な表情で語りかけられるシーンから始まり、直後、謀略にかかってしまい落命するのだが、広大な邸宅での生活と偉大だった父の最期を冒頭に持ってきた事で彼女の少女時代が観客に伝えられる構成は良かった。
その後は学者である夫との恵まれた英国での生活が続き、一人の幸せな女性としての様子が描かれているが使用人もいて学者としての夫の地位もこれである程度理解出来る。
それもこれも母の看病で帰国するまでの話であり、大部分はここから先の波乱万丈な人生が描かれていて、母の生い立ちと祖国での地位に戸惑いを隠せなかった家族も徐々に理解するようになる。この家族の理解が無ければ彼女の活動も行き詰っていたに違いない。

邦題の一部にあるように「ひき裂かれた愛」とはがん闘病中の夫マイケルの元に駆け付けることが出来ない苦悩=愛についてであり、夫も妻の祖国での立場を理解して「帰国しろ!」とは言いたくても決して言わない。この夫婦の愛が強固な証拠であり息子達も立派であった。
スーチーを演じた中国系マレーシア人のミシェル・ヨーは、リサーチ段階で実際の映像などを通じて話し方やビルマ語を徹底的に学んだそうで、メイクも彼女にそっくりだし凛とした様子も本人を想起させられる。彼女の熱演には賛辞を贈りたいが、公開館が少ないのが残念だ。


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