goo

御林、異国船、川浚い、御供人足 - 駿河古文書会

(6月6日、大窪寺山門、お遍路さんはこちらの門は余り使わない)

「御觸面書留帳」の続きである。短い御触れを四通記す。1通目は御林、領主地頭林の管理について。2通目は咸臨丸からの脱走者の探索のこと。3通目は巴川川浚いの件。四通目は旧小嶋藩殿様江戸出立の御供人足相談の儀、の4通である。

こういう御触れを読みながら感じるのは、江戸時代の行政は何事を行うにも、地方(じがた)の協力がなければ実施できなかった。それに比べて、現在の地方行政は、何から何まで行政に負んぶに抱っこで、地方税が高くなるのも無理からぬところである。無駄遣いは糾弾しなければならないけれども、安上がりの地方行政にしたければ、企画、立案、実施を住民たちが行う事業をもっと増やして行くべきである。

ちなみに、行政という目でみれば、1通目は営林、2通目は警察、3通目は土木、4通目は運輸のそれぞれ事業である。

1通目
御領分の内、これまで御林並びに領主地頭林の儀、追って沙汰これ有り候まで、その村々において精々心附け、不取締の儀これ無き様取り計らうべく、風折れ、根返りなども、これ有り候わば、その時々支配地方役へ申し立て、差図を受くべく候、万一心得違いのもの、これ有るにおいては、曲事たるべきものなり
 辰九月
右の通り御触れ出し候間、その意を得て、小前末々まで洩さざる様、触れ知らすべきものなり
 辰九月二十二日
    郡方役所
       安部郡
        村々役人
追って、別紙帳面ごと宿村受け印せしめ、この触れ出し、一同刻日をもって順達、留村より返すべく候、以上


2通目
咸臨丸と申す異国張りの船に乗り組み、脱走の者上陸いたし、所々へ散乱いたし候趣に付、厳しく探索、見当り次第差し押え、注進致され候、この廻状刻付をもって早々順達、留り村より相返すべきものなり
 辰九月十九日   
井宮役所         宮内村始め、北長沼村まで
 未中刻出す         十九ヶ村
                   右村々役人


3通目
急廻状をもって御達し申し上げ候、しかるは今般巴川通り、定浚い御普請の儀に付、組合村の壱村限り、村高取り調べ差し出すべき旨、御厳重仰せ渡され候間、三判持参、村々諸引高相知り候御帳面御持参、この廻状御披見次第、名主伝右衛門宅方へ御出会い下さるべく候
 九月二十一日      上土新田    組頭 大次郎
                下足洗新田     忠右衛門
         下足洗村始め  十一ヶ村
         南沼上村まで   名略す


4通目
殿様御供江戸人足の儀に付、相談申し上げたき儀これ有る間、明二十三日昼時まで、八幡屋方御出張下さるべく候、もっとも御繁多の中、御気の毒に御座候えども、殿様御出立の儀も、近々に相成り候ては御差し支え相成り、何とも恐れ入り候儀に付、御繰り合わせ、くれぐれも御出役願い上げ奉り候、以上
 九月二十二日       触れ元
        浅畑村々右略す
当日、右人足日雇壱人分、何程の身入りに候や、御問い合わせ、御申し出下さるべく候


   *    *    *    *    *    *    *

片雲さんがスペインのサンチャゴ後大聖堂への巡礼に出掛けた。その行動力にはいつも脱帽である。その模様は片雲さんのブログ「片雲の風に誘われて」で見ることが出来る。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
« 靜岡藩の御家... 「執筆」か「... »
 
コメント
 
 
 
片雲さん (城崎温泉  力 餅)
2012-08-31 06:30:09
きのさん おはようございます

 城崎は夏のイベントも終わり、再び静けさを取り戻しつつあります・・・営業的にはあまり喜べないことですが・・・

 きのさんの紹介で、片雲さんのブログを覗いたら、スペインの巡礼に行っておられるのですね。韓国にも巡礼路があるということですし、エルサレムへの巡礼はあまりにも有名ですね。
 宗教に関係なく、巡礼自体に人間の機微に触れる何かがあるのかな・・・などと考えます。
 私はと言えば、これだけ身近に巡礼に出かける方がいらっしゃるのに、自身あまり巡礼に出かけようという気にならないんですよね~。それは何故なのかしばらく考えてみます。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。