平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
結願直前、歩き遍路のご夫婦に出会う
(夜明けの屋島)
(屋島から展望する八栗山)
お遍路27日目、11月27日(金)歩数47,949歩-距離26.5km。
今日のコースは、ビジネスホテルサンシャイン高松-7.6km-第84番屋島寺(標高284m)-5.4km-第85番八栗寺(標高230m)-6.5km-第86番志度寺-7km-第87番長尾寺-あづまや旅館、のコースである。
結願を明日に備えて、今日のコースの屋島寺と八栗寺はそれぞれ200m以上の山登りである。ビジネスホテルの朝食は断って、カップラーメンと鉄火巻きを買い、朝食を部屋で済ませて、6時40分にビジネスホテルを出る。屋島は台形の特異な山である。標高280mといえども、どこから登っても急な坂を上ることになる。高松の街の方からはジグザグに登る道が整備されて、朝の一汗をかいた散歩の人たちが三々五々降りてくる。向こうは下りで荷物が無いから、「あと、20分、がんばって」などと声を掛けてくる。大汗をかいて山頂の屋島寺に着いた。そこで先着のご夫婦に初めて出会った。
屋島からの下山は東側へ急降下の道で、国分寺のえびすや旅館で同宿だった逆打ちの男性が、一段の段が大男の股に合わせたように高くて登るのに往生したと話していた道である。きつい段であったが、少し表現がオーバーだと思った。きつい下りだけに距離も短かった。途中にお遍路さん休憩所があって、美味しそうなみかんがあった。一つ一つが磨いてあって輝いている。二つ目をいただいていると、ご夫婦が下ってきた。旦那さんの方にみかんが美味しそうですよと声を掛けたが、奥さんが先に下って行ったので、その方を指し示して下って行かれた。屋島から橋を渡って八栗の町を横切っていく間に、ご夫婦とは何度か後先になった。
八栗寺への登りに入って、ケーブルカー駅の先にお遍路さん休憩所「仁庵」があった。トイレを借りたくて寄ったら、お茶とお菓子の接待をいただいた。熟年夫婦の奥さんの趣味で、接待所を新築して3年前からはじめたという。遅い出勤だといわれながら、髭の旦那もやってきてお話をした。お茶を3杯もお変わりして、かのご夫婦も立ち寄ったので失礼した。趣味だとはいえ、ここまでやってしまうのは何ともすごい。旦那も奥さんの趣味だからといいながら付き合っている大らかさもすごい。掛川のS氏はここでも二日前に名前を残していた。この後、今夜の宿泊のあづまや旅館にもS氏の泊まった形跡があった。
(380円の讃岐うどん)
志度寺の途中で、ようやく讃岐うどんを食べた、製麺所で出しているうどん屋で、二玉分のざるうどんが380円だった。讃岐うどんの特徴がようやく少し理解できた気がした。志度寺を打ち終えて出ようとしたところで、再びかのご夫婦とあった。少し言葉を交わして、今夜の泊まりを聞くとあづまや旅館だという。同じ宿だと話して分かれた。
宿の夕食にかのご夫婦、Yさん夫婦と少し話した。一番から初めて今日で54日目、出発したのは10月の初めだったという。遍路道にこだわって歩いて、とんでもない山道に迷い込んだこともあった。荷物が二人とも10何キロかあって、重すぎるのだろうという。出会った人たちは皆先へ行ってしまった。靴は登山靴、荷物は必要品だけで減らせられない。少し思い込みが強そうに思われるが、そういうお遍路もそれはそれでよいかもしれない。どんなに日にちがかかろうとも、心配する奥さんも一緒なのだから、気にすることは何も無い。
明日はいよいよ結願。宿のお上さんが「明日は女体山を越えていく道になります」とそれ以外に道は無いようにいう。そして詳しい地図を戴いた。山名は艶めかしいが、標高445mの大窪寺に登るに、標高774mの山を越えて行かねばならない。景色がすばらしいが、岩登りで金剛杖が邪魔になるところもあるとおどかす。大丈夫、落ちて怪我をした人はあるけれど、別の世界に行った人はいないから。
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あづまや旅館さんで、同宿になった岡山の山下と申します。
その節は、短い出会いではありましたが、結願前のひと時、心和むものがあり、家内共々嬉しく思っております。「虚心坦懐」無事、私達も結願する事が出来ました。因みに、宿を7時40分に出て、「大窪寺」には、14時40分。7時間掛かりましたけれどね。(前山おへんろ交流サロンで少し長居はしましたが)
高野山へは、来年の春にでも、丁石道を歩いてと、予定しております。
本当にこの度は、お世話になり、ありがとうございました。
せわしなく巡ってしまった自分としては、せめてブログの中でゆっくり反芻するように、もう一度思い巡っております。今年いっぱいは続きそうです。