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「江戸繁昌記 ニ篇」 20 散楽(能)2

(稲刈りが終った田んぼ)

午後、榛原まで修理の炊飯器を取りに行く用があり、途中車で秋らしい風景を探しながら行った。ここへ載せる写真を一枚ゲットするために。結果、得た一枚である。周囲に鳧(ケリ)が数羽、警戒の鳴き声を立てながら飛び回っていた。収穫が済むと、やがて鳧(ケリ)が巣作りして、卵を産む。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

何ぞ省(かえりみ)せん、片時の栄、終(つい)に一夢の幻に属するを。楽しいかな、王都の風色麟閣阿房映射光を交え、丹墀、玉堆(うずたか)繍戸風香(かんば)し。人麗々、物煌々、かの寂光土に遊ぶと雖(いえど)も、安(いずくん)ぞ、この楽で且つ康(やす)きに(し)かん
※ 風色(ふうしょく)- 眺め。景色。風景。
※ 麟閣(りんかく)- 麒麟閣。中国、漢の武帝が長安の宮中に築いた高殿。麒麟を捕らえたのにちなんで命名したという。
※ 阿房(あぼう)- 阿房宮。中国の秦の始皇帝が、渭水(いすい)の南に建てた大宮殿。
※ 映射(えいしゃ)- 太陽が照り輝くこと。また、物体が光を受けて照り輝くこと。
※ 丹墀(たんち)- あかくぬりたる庭、天子の殿階の下。
※ 繍戸(しゅうこ)- 美しく飾ったへや。
※ 麗々(れいれい)- うるわしくきわだっているさま。
※ 煌々(こうこう)- きらきらとひかり輝くさま。
※ 寂光土(じゃくこうど)- 宇宙の究極的真理としての仏陀が住する浄土で,永遠で煩悩もなく,絶対の智慧の光に満ちているという。四土の一つ。
※ 如く(しく)- 匹敵する。


(この居士に至り、倦困坐睡、耳辺、ただ洋々たる音聞え、これ久しく、気蘇り、則ちまた適(たま)に盧生、夢の覚状(覚めた様子)を作り見る)
※ 倦困(けんこん)- 飽きて疲れ弱ること。
※ 坐睡(ざすい)- 座ったまま眠ること。いねむり。
※ 気蘇る(気よみがえる)- 目覚める。


盧生、夢醒め、恍然として起つ。五十の春秋、歓楽已(や)めり。三千の宮女、弦歌の声、化して一道の松風と為り、数百の宮殿、佳麗、跡無く、身は邯鄲の客舎中に在り。王位の栄華、千歳の寿、皆なこれ、黄粱一炊空し。南無三宝、南無三宝、これを思うは、この枕、能(よ)く人をして出離し、を発(ひら)かせ教(し)む。(盧生、枕を拝み入る)
※ 恍然(こうぜん)- 心を奪われてうっとりするさま。
※ 一道(いちどう)- ひとすじ。
※ 黄粱一炊(こうりょういっすい)- きびを炊くほどの時。(きびが炊ける間に見た昼寝の夢、束の間の夢のことを示す。)
※ 南無三宝(なむさんぽう)- 仏に帰依を誓って、救いを求めること。また、突然起こったことに驚いたり、しくじったりしたときに発する言葉。(「三宝」は、仏・法・僧のこと)
※ 出離(しゅつり)- 迷いを離れて解脱の境地に達すること。仏門に入ること。
※ 蒙(もう)- 道理をわきまえず、愚かなこと。
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