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「江戸繁昌記 ニ篇」 7 混堂(ゆや)5

(今日の夕焼け)

午前中、大賑わいであった我が家も、名古屋のかなくん一家が帰り、掛川のまーくんたちも帰り、孫たちの夏休みも終わったようなものである。夕方、久し振りにきれいな夕焼けを見た。しかし、明日は台風9号がやってくるようで、雨模様だという。

「江戸繁昌記 二編」の解読を続ける。

且つ、短製犢鼻(ふんどし)の、越中と称するもの、古来これ有りて、然し世誤りて、公の意に出ると為す。要するに、また徳に帰するのみ。倹なるかな徳やなり。然り、而(しこう)して、無知の細民、これを長くするに止まらず、或は皺紗絹帛、紫を結んで紅を紆(あしら)うに至る。陰嚢は一身の命脈、陽茎は一生の要用かなといえども、これを襲するに、これを用いる。居士、私に恐るる。嚢裂け、茎折れしことを。
※ 倹なる(けんなる)- 安っぽい。
※ 細民(さいみん)- 下層階級の人々。貧しい人たち。
※ 皺紗(しゅうしゃ)- ちぢみ織り。
※ 絹帛(けんぱく)- 絹の布。絹織物。
※ 命脈(めいみゃく)- いのち。生命のつながり。
※ 要用(ようよう)- 必要なこと。
※ 襲する(しゅうする)- 覆う。
※ 私に(わたしに)- 私的に。個人的に。


姉、妹が(たぶさ)を仰ぎて曰う、誠に佳し。誰をしてこれを為さしむる。曰う、那(な)んぞ、阿清のみ。少く頭を顫(ふる)って曰う、彼が手、僻を成し髻根緊急、言い終らず、偶々男湯裏に向いて、耳朶を傾着して曰う、また例して源太を聞く。誠、厭(いと)う。何ぞ(誰)一人して、河東一中を唱うる無き。
※ 髻(たぶさ)- 髪の毛を頭の頂に集めてたばねたところ。もとどり。
※ 阿清(あきよ)- 清さん。(「阿」は、氏名等の前につけ、愛称をあらわす。~ちゃん。)
※ 僻を成し(へきをなし)- 癖がある。
※ 髻根緊急(たぶさねきんきゅう)- たぶさの根元をしっかり縛る。(「根合する」とルビあり)
※ 耳朶(じだ)- みみたぶ。みみ。
※ 源太(げんた)-「曲名」と注がある。常磐津に「源太」という曲名あり。
※ 河東(かとう)- 河東節。浄瑠璃の一種。(「河東」と「一中」合せて「並び曲名」と注有り。)
※ 一中(いっちゅう)- 一中節。浄瑠璃の一種。


隔壁声有り。詞に曰う、悦ぶべきも初見を奈(いか)ん。翠被、君に伴なう。遅々す、宜しく。他(の女)の明朝の弄(ろう)に、従(ま)かす。一味の野情嘉期を促す。却って枕辺に向いて、玉臂を引く。
※ 初見(しょけん)- 初対面。初めて合うこと。
※ 翠被(すいひ)- カワセミの羽でつくった着物。緑色のふとん。
※ 遅々(ちち)- 物事がすらすらと進まず、時間がかかること。
※ 一味の野情(れい)- 野暮。野暮な男。
※ 嘉期(かき)- よい時。
※ 玉臂(ぎょくひ)- 美しいひじ。玉のように美しいうで。


最後の部分は、聞こえてくる音曲を漢文に直したものだが、解読に大変苦労した。妓が一見の客をあしらっている内容だと思うが、理解して貰えたであろうか。
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