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「検証東日本大震災の流言・デマ」を読む

(久し振りの梅雨の晴間、
     散歩道にヒマワリのが花咲いていた)

図書館で、荻上チキ著「検証東日本大震災の流言・デマ」という新書版の本を、新着図書の柵から拾うように借りてきて読んだ。地震から2ヶ月少しで出版された本である。

東日本大震災は、ネット社会になってツイッターなどの道具を得て、世界が初めて遭遇した巨大災害である。流言・デマは大きな災害が起きると必ず起きる。場合によっては流言・デマが引き金になってパニックが起き、2次的な災害を引き起こす。過去の大地震などでも経験して来たことである。

今までと同じように人々の口から耳へ広がって行くものもあったと思うが、この本ではツイッターなどをウォッチングする中で、流言・デマがどのように拡がって行き、何がそれを終息させたのかを調べた。口から耳へ拡がって行くものだと、人々の中に入って調査をするために時間が掛かる作業になるが、ネットゆえに、短時間で情報が得られ、こんなに早く本にも出来たのだと思う。

流言・デマがどういうメカニズムで起きるのかは、ネット社会になっても何ら変わらない。片方の大きな情報の需要があって、その需要に対して情報の供給が大きく不足しているというような状況が起きると、人々はどんなあやふやな情報にも飛びつく。そしてそれがセンセーショナルであればあるほど、急速に広まっていく。

東日本大震災においても、あらゆるメディアが寸断され、行政も機能不全に陥り、とにかく情報の極端な不足が生じた。特に原発問題などは、安全を繰り返すだけで、情報は限定的で、あたかも操作されているかのように、国民の目には映った。流言・デマが拡がる素地が整っていた。

ネットの世界ではツイッターなどで一度に大量の人たちに情報が広がる。実際に起ったコンビナート火災で、有害物質が雨に混ざって降ってくるという話を例に、どのように拡がって行ったかを調査しているが、さすがにネットの威力で時間単位で全国に広がって行くことがわかった。それでパニックが起きたかというと、そういう事態にはならなかった。ネット上の流言・デマについては、当事者(ここではコンビナートや地方役所など)が正しい情報を同じネット上に流すことで、ウィルスにワクチンが効くように、これも短時間に流言・デマを鎮静化させることに成功して、大方は大事にならずに済んだようだ。

本書では東日本大震災について、
   1.注意喚起として広まる流言・デマ
   2.救援を促すための流言・デマ
   3.救援を誇張する流言・デマ
に分けて、それぞれの具体例を挙げて論じている。

流言・デマに掛からない方法は、そのニュースソースをしっかりと確認することで、流言・デマはそれらしいソースを示していても、一見してソースにたどり着けないと分るものが多い。「友達のお父さんがコンビナートに勤めていて、その話では ‥‥ 」といった類いである。
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