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東泉寺の「弘誓院之碑」を読み解く

(龍華院の紅葉)

午後、掛川古文書講座に出席した。終ってから、同じ受講者のYさんと、すぐそばの龍華院のある丘に登った。登り口の紅葉が見えたからである。写真を何枚か撮ったが、紅葉は青空によく似あうと思った。


(御前崎市の東泉寺「弘誓院之碑」)

一昨日、小堤山公園の帰り道で、浜岡を廻って帰った。その途中、丸尾文六に関係する碑でもないかと、東泉寺に立寄って、こじんまりした漢文碑を見つけた。東泉寺のHPに、東泉寺は江戸時代には寺子屋、明治になって、一時期小学校の仮校舎にもなり、丸尾文六らが興した平章学舎の塾舎として使用されたりした。その頃、乞われて江戸から移住して、当地の女子教育に尽くした粟井真砂子の塾舎も東泉寺に置かれたという。その碑を以下へ読み解く。

(題額)弘誓院之碑
弘誓院、諱(いみな)眞砂子、姓湯浅氏。文化二年正月、江都に生る。幼くして読書を好み、長じて織縫を事とせず。専ら経伝に力を注ぐ。最も易に精(くわ)し。年二十五にして、粟井氏に歸(とつ)ぐ。安政三年、粟井氏歿す。
※ 江都(こうと)- 江戸の異称。
※ 織縫(しょくほう)- 機織りと、裁縫。
※ 経伝(けいでん)- 経書とその解釈書。


刀自(すなわ)薙髪し、遺孤鞠し、傍ら育英に従う。明治維新の際、京師に在り、兵禍を蒙(こうむ)る。爾来、各地を輾転(てんてん)し、遂に此処(ここ)に止まる。就(つい)て、教えを請う者、甚だ多し。
※ 刀自(とじ)- 年輩 の女性を敬愛の気持ちを込めて呼ぶ称。名前の下に付けて敬称としても用いる。
※ 薙髪(ちはつ)- 髪を切ること。髪をそり落とすこと。剃髪。
※ 遺孤(いこ)- 両親の死後に残された子供。遺児。
※ 鞠す(きくす)- 大事に育てること。
※ 育英(いくえい)- すぐれた才能を持った青少年を教育すること。転じて、教育。
※ 京師(けいし)- 京都のこと。
※ 兵禍(へいか)- 戦争によって生じるわざわい。戦禍。
※ 爾来(じらい)- それからのち。それ以来。


明治五年七月以って、壽終焉。年六十有八、今茲(ここ)に、丙午、刀自歿後、三十五周歳(年)門弟子相謀り、石を建て後界へ伝う。銘曰く、
※ 壽終焉(じゅしゅうえん)- 命が尽きて死を迎えること。
※ 丙午(ひのえうま)- 1906年(明治39年)。
※ 後界(こうかい)- 後世。


 貞操化俗 孝徳歸淳 歿后相戀 建碑斯新

(銘の意訳、七五調で)
正しい道に導きて、孝と徳とに素直なり、死んだ後さえ慕われて、碑を建てかくに新たなり。
                                                     藤本藤平撰

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