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浜岡原発がすべて停止される

(ムサシの散歩道のマーガレット)

GW中に帰郷していた、名古屋の娘と毎夜、議論になった。一児の母の娘は今度の福島第一原発の津波による事故を深刻に受け止めて、浜岡原発を即刻廃止するように、ネットを通じて一生懸命になり、自分のブログで、中部電力の社長宛に廃止を求める手紙を書いたり、街頭へ出ることは出来ないが、署名運動に加わったり、周りがはらはらするほど没頭している。

娘に言ったのは、原発を止めろと幾ら電力会社に向かって運動しても、電力会社が自ら止めるとは決して言わない。国は電力会社にその地域の電力供給の独占権を与えていると同時に、電力を安く安定的に供給する義務を与えている。発電コストの安い原発を、止めますとは言えない立場にある。計画停電などを電力会社が求めることなどは、決してあってはならないと考えている。

本当に止めるためには政治が動かないと無理である。運動をするならば政府に対して行なうべきであろう。国ならばあらゆるケアをした上で、止める指示が出せる。そんなことを話した。

娘が家族と名古屋に帰って、六日の夜、娘から電話で、今浜岡原発全面停止のニュースをやっていると、興奮した口調で言ってきた。ニュースを点けると、菅首相が浜岡原発4号機、5号機の停止を中部電力に要請したという。国が動いたならば、停止は実現するであろうと思った。その後、中部電力も受け入れ、全面停止が実現することになった。

今回の東日本大震災を教訓にした、地震、津波対策が完了するまで停止ということで、廃止にするという話ではない。東海地震という、特別に確率の高い大地震の危険を持っている浜岡原発に限定的な処置で、その他の原発はそのままである。

菅首相の停止要請は産業界にもほぼ肯定的に受け入れられた。考えてみれば、これから二、三年掛かると考えられる、防潮堤の工事中は、津波対策など現在よりも手薄になることが考えられる。そのような状態で原発を運転するのは危険が多すぎると考えるのは正論であろう。

ただ、今回の決定には問題も多い。菅首相の要請には法的な根拠がない。菅内閣は中部電力や浜岡原発の地元に対して、停止にともない多くの約束をしているが、それらは今後国会の場で予算措置を議決していかねば、約束を守れない。その割りに、今回の決定は唐突で、必要部署への根回しがされているとはとても思えない。ねじれ国会では、一もめも二もめもあるに違いない。

浜岡原発が停止されても、即危険が排除されるわけではない。原子炉から燃料棒の取出しが出来るまでに何年か掛り、その後も長期に渡って冷やし続けねばならないことは同じで、停止したことで、地震、津波対策が緩むようなことがあってはならない。

地震、津波対策がどの状態までになったときに、再開を許すのかが、これから問題になる。さらには、他の原発は停止する必要は無いのか、この後、議論がかしましくなってくると思う。

ともあれ、この夏には中部電力管内の我々も、節電をしっかり考えて行かねばならないし、電力料の値上げにも耐えなければならない。それが安全の代金である。
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