木のつぶやき

主に手話やろう重複の仲間たちのこと、それと新聞記事や本から感じたことを書き込んでいきます。皆様よろしくお願いします。

日本手話学会に参加して来ました(その2 亀井さん&エブナさん)。

2008年09月21日 21時14分12秒 | sign language
今回、「想定外」の面白さだったのが、亀井さんとエブナさんの基調講演でした。
「想定外」なんて実に失礼な話なんですが、タイトルが「フランス語圏アフリカ手話(LSAF):その歴史・現状・未来」で、茨城の手話さえ毎週戸惑っているばかりの私として「何故にアフリカかい?!」って感じで、実は全然期待していなかった(ホント失礼です!スミマセン)のですが、これがすんごく面白い講演でした。
お二人の講演によれば、西・中部アフリカのろう者たちは、アフリカに手話を広めた「ろう者のためのキリスト教ミッション(CMD)」の影響でアメリカ手話(ASL)を用いているのですが、それらの地域はフランス語圏(もちろん様々な民族諸語があるのですが、植民地時代の影響でフランス語が公用語とされている国々)とも重なるために、フランス語(口形など)をベースにしたアメリカ手話なんだそうです。それを「フランス語圏アフリカ手話 Langue des Signes d'Afrique Francophone(LSAF;エル・エス・アー・エフ)」と命名しようというのがお二人の発表でした。
亀井さんは音声日本語で発表され聞き取り手話通訳が付きましたが、エブナさんの国際手話による発表は亀井さんが読み取り通訳し、その声を聞き取り手話通訳とパソコン要約筆記による書記日本語で情報保障するという形でした。聴者である私はエブナさんの国際手話をずっと見ながら、耳から亀井さんの音声訳を聞くという贅沢な(ずるい)経験をしてしまいました。
最初に亀井さんが「アフリカにおけるアメリカ手話伝播の歴史」や「アフリカろう教育の父アンドリューフォスター」のことを話してくださり、次にエブナさんがLSAFの現状ということで実際にいろいろなLSAFを紹介してくれました。
例えば「水」という手話はASL(アメリカ手話)では、あごのところで「W」を表す(Waterだからね)んだけど、LSAFではフランス語の「水=eau(「オ」と読みます)」から「e」の形をあごのところで表すとのこと。それでもってフランス手話(LSF)の「水」は日本手話の「10」みたいな形で全然違うんです。
また父(英語=father、仏語=Papa)の場合は、アメリカ手話の「父」の手形(5指を伸ばした右手の親指を額に当てる?)なんだけど口形が「パ」つまりフランス語の「パパ」になるんだそうです。他にもいろんな事例を紹介して「音声フランス語ベースのアメリカ手話」であることを説明してくださりとても興味深く聞くことができました。
それでもって第3部は再び亀井さんの説明で「研究の将来に向けて」というお話。お二人はナント!「DVDによるLSAFの辞典」を作ってしまったとのこと。すごい! 3,300件7時間40分に及ぶDVDとのこと。それは辞典であり、文法書であり、例文集であり、スキット・会話集でもあるというスーパーDVD。
また亀井さんのお勤め先の東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所でLSAFの集中講義(5週間150時間)を敢行し10名の方が受講されたとのこと。そこでは毎日寸劇をやったりアフリカの文化講演会をやったそうです。そうかぁ寸劇かぁ~。最後は受講生による卒業発表劇もやられたそうです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ETV特集「手の言葉で生きる」... | トップ | books116「アフリカのろう者... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

sign language」カテゴリの最新記事