第5章「第二言語としての手話の学習心理」
-聴者の手話認知メカニズム- 松見法男
第2節 手話単語の学習過程
1.音声言語との対連合学習
音声言語を第二言語とするときは、単語学習に少なくとも2つの段階があると考えられます。
1つは、入門期や初級の段階で、基本単語を数百語から数千語程度覚えるために、個々の単語を文から独立した項目として学習する段階です。
この段階では、主に単語帳や単語カードが用いられ、ほとんどの場合、母語での翻訳同義語が伴います。
もう1つは、中級や上級の段階で、実際に文章を聞いたり読んだりすることにより、未知の第二言語の単語を文脈との関係で捉え、意味を推測しながら学習していく段階です。
これって、英語の勉強なんかじゃ当たり前なんでしょうが、手話の場合は、「文章」として気軽に読める題材(ビデオはどれも高いしね、少なくとも週刊英字新聞みたいに気軽に読むことはできない。そうした意味でDeafTV-Japanの存在意義は手話学習者にとって画期的なものと思う。)がないし、読みながら分からない手話単語を調べる適当な辞書がない(日本語から調べる辞典はいろいろあるけど…手話から引けるのは竹村茂先生の「手話・日本語大辞典」くらいじゃないだろうか)ことがネックになっているように思う。
2.被験者実演課題
学習者が手話単語を覚える際は、動作を行うこと自体が重要なのではなく、記憶過程で視覚的・運動感覚表象をを活性化することが重要だと言えるでしょう。
この指摘もとても面白いと思った。確かに手を動かしたからって覚えられるわけじゃなくて、むしろ頭の中で手を動かすイメージをキチンと描きながら手話を練習することが上達の近道なんだねぇ~。
この話しを読んでちょっと思いついたのですが、聴者はどうも「手の形」「手の向き」「手の動き」を視覚的に記憶するのが苦手な人が多いのじゃないかと思うのです。苦手というか慣れてないわけですが…。だったら、その「形」「向き」「動き」の基本パターンに共通の名称を付けたらどうでしょうか。例えば「手話」という単語表現なら「1の形で」「9時の方向に向け」「両手で交互に前回り回転」という感じです。要するに「そうやって、こうやって、ああやってやるんだなぁ」という今の手話の覚え方は、形・向き・動きの基本パターンの名称があいまいなことが覚えにくい原因ではないかと思うので、何か共通の「名前」をつければ良いのではないかと思ったのです。
でもよく考えたら、そうした「形」「向き」「動き」の3つの要素を組み合わせたらむちゃくちゃ膨大な数になってしまうのでしょうか。いろいろな手話記述法が考案されながら普及しないのと同じような原因なのかな…。
少なくとも「手の形」の名称を共通化させ、「向きは」±x、±y、±z、「動き」は・・なんだろう・・どんな「動き」の基本形があるのか分析してみなければ。
-聴者の手話認知メカニズム- 松見法男
第2節 手話単語の学習過程
1.音声言語との対連合学習
音声言語を第二言語とするときは、単語学習に少なくとも2つの段階があると考えられます。
1つは、入門期や初級の段階で、基本単語を数百語から数千語程度覚えるために、個々の単語を文から独立した項目として学習する段階です。
この段階では、主に単語帳や単語カードが用いられ、ほとんどの場合、母語での翻訳同義語が伴います。
もう1つは、中級や上級の段階で、実際に文章を聞いたり読んだりすることにより、未知の第二言語の単語を文脈との関係で捉え、意味を推測しながら学習していく段階です。
これって、英語の勉強なんかじゃ当たり前なんでしょうが、手話の場合は、「文章」として気軽に読める題材(ビデオはどれも高いしね、少なくとも週刊英字新聞みたいに気軽に読むことはできない。そうした意味でDeafTV-Japanの存在意義は手話学習者にとって画期的なものと思う。)がないし、読みながら分からない手話単語を調べる適当な辞書がない(日本語から調べる辞典はいろいろあるけど…手話から引けるのは竹村茂先生の「手話・日本語大辞典」くらいじゃないだろうか)ことがネックになっているように思う。
2.被験者実演課題
学習者が手話単語を覚える際は、動作を行うこと自体が重要なのではなく、記憶過程で視覚的・運動感覚表象をを活性化することが重要だと言えるでしょう。
この指摘もとても面白いと思った。確かに手を動かしたからって覚えられるわけじゃなくて、むしろ頭の中で手を動かすイメージをキチンと描きながら手話を練習することが上達の近道なんだねぇ~。
この話しを読んでちょっと思いついたのですが、聴者はどうも「手の形」「手の向き」「手の動き」を視覚的に記憶するのが苦手な人が多いのじゃないかと思うのです。苦手というか慣れてないわけですが…。だったら、その「形」「向き」「動き」の基本パターンに共通の名称を付けたらどうでしょうか。例えば「手話」という単語表現なら「1の形で」「9時の方向に向け」「両手で交互に前回り回転」という感じです。要するに「そうやって、こうやって、ああやってやるんだなぁ」という今の手話の覚え方は、形・向き・動きの基本パターンの名称があいまいなことが覚えにくい原因ではないかと思うので、何か共通の「名前」をつければ良いのではないかと思ったのです。
でもよく考えたら、そうした「形」「向き」「動き」の3つの要素を組み合わせたらむちゃくちゃ膨大な数になってしまうのでしょうか。いろいろな手話記述法が考案されながら普及しないのと同じような原因なのかな…。
少なくとも「手の形」の名称を共通化させ、「向きは」±x、±y、±z、「動き」は・・なんだろう・・どんな「動き」の基本形があるのか分析してみなければ。
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これ、イギリス手話だとありますよ~。
3要素が「形」「動き」「位置」なのですが、それぞれに名前があります。
動きの名前はややあいまいですが、
「形」ならY-handshapeや3-handshapeなど、
指文字や数字を表す手話になぞらえた名前が存在します。
日本では無いんですかね??
きっと、言語学の研究の便宜上、まだ普及していないだけで、何らかの名前はあると思うのですが・・・
日本でもきっとちゃんとした用語があるのでしょう。勉強不足で私が知らないだけだと思います。
2月11日にはそんな話しも教えて下さい。楽しみにしています。
おっとそのこともブログで宣伝しなければ!
私が勉強した範囲内ですが、
手話を構成する3要素というのは、もともと「handshape(形)」「movement(動き)」「location(位置)」だったのですが、
もう一つ要素として「direction(向き)」が後に追加されたようです。
こういったお話は、言語学のお話になってしまうので、今回は詳しくは触れられないかと思いますが、少しこの話題も取り込んで構成してみますね!