波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

  オショロコマのように生きた男  第41回

2011-10-29 12:48:30 | Weblog
男と女の違いはそれぞれの立場から出なければ分からないことが多い。男は女を女は男を本当の意味で理解することは難しいことだ。分かっているようで分かっていないことが多いし、理解しているようで理解できていないことがある。
「彼女にすれば、どうしても彼のことが忘れられないで居たらしい。しばらく島で暮らしていたのだが、知人を頼って東京へ出てきて彼の友達から彼の居場所も調べて分かったのか、訪ねてきた。そして前のように付き合ってほしいと言われた。男は今、新しい彼女が居るわけではなかったが、と言ってその彼女と付き合う木はもう無かった。彼にしか分からない気持ちだろうと思う。
そこで、何とか彼女にあって説得してほしいと言うことなんだ。」宏は話を聞きながら、途中から馬鹿馬鹿しくなっていた。
第一自分には関係のない話しだし、もし関係があったとしてもそんなに真剣になる話でもないと思っていたからだ。放っておけば
いつか結果が出て、何とかなる話だと自分なりに結論を出していた。
村田は「野間さん、一度彼女と会って話を聞いてやってほしいんだが、何とかお願いできないか。私にはちょっと出来ないので」
「分かりました。じゃあ彼女にあって話を聞けばよいんですね。」「出来れば説得して分かれさせてもらえれば一番良いんだけど」「それはどうかな。彼女がどう出るか、分からないから、成り行きしだいでよければ話はするよ」何となく頼まれて、断れない雰囲気になっていた。
何日か過ぎて、村田から連絡があり、どう話をつけたか知らないが、渋谷の駅前のハチ公の所で会うことになった。
宏は遊び半分で渋谷まで出かけていった。目印は手に雑誌を持っていることだけだったが、すぐ分かった。宏が意外と思ったのは相手にされないで振られるくらいなら、たいした女ではないのだろう、はっきり言ってブスかと悪く想像していた。
駅前に立っていた彼女を見て宏は「あっ」思い、見間違うほどであった。少し太って見えるが、背も高くむしろそれがグラマーな雰囲気を漂わせ、魅力的だ。髪を少し長く伸ばし、眼もパッチリと黒目がぬれているように見える。
「これはすごい」宏はいっぺんに気分が変わった。「こんにちわ。野間と言います。お聞きになっていると思いますが、頼まれてあなたのお話をお聞きすることに頼まれています。良ければ少し時間をもらえますか。」彼女も少し恥ずかしそうに挨拶をしたが、話を聞いていたこともあって、「はい。」と素直だった。

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