波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

    思いつくままに  「寅さん蘇る。」

2015-03-23 08:47:34 | Weblog
隣のババが亡くなって一週間が過ぎた。信じられない思いでいたが、元気な声を聞くことが出来なくなって次第に寂しさがつのってくる。もう電話の声が聞けるかと待つていても雨戸がしまったままの様子を庭越しに見るたびに「もう会えないのだ」と元気が出ない。
そんな思いでTVを見ていたら「寅さん映画」が映っていた。寅さんの映画は上映のたびに欠かさず見ていたつもりだが、48作もあると全部を覚えているわけではなく、忘れていることも多い。だから新鮮な思いで再放送を見ることが出来る。
そんな中でこんなシーンがあった。いつもの団子やを営んでいるおじちゃんの家に帰ってきた寅さんを囲んで家族が揃っている。その中で寅さんが「人間を上流、中流って言う人がいるけど、どんな人間が上流でどんな奴が中流なんだ」と聞いている。
博が「兄さんは上流ですよ」というと「俺が上流だって」と怪訝な顔をしているとすかさずサクラが「人は高いものを一杯持って広い庭のある家に住んでいるから蒸留って言うんじゃないと思うの。その人がどれくらい愛情を持っていて、その愛情をどれくらい皆に分けてあげられるかで決まると思うの。お兄ちゃんは立派な上流よ」という。寅は分かったような分からないような顔をして「俺が上流ってか」と照れ笑いをしている。
久しぶりに蘇った寅さんを見た思いで勉強をさせてもらった。この映画にはどこかに作者の本音が隠されているのだが、ここで人は貧しくても苦しい状態に置かれても心に一杯の愛情を持ちその愛情をどんな時でもいつでも与えられることが出来てこそ上流といえる人間であることを神も又望んでおられる事を知らされたのである。
ともすると不自由で厳しいこの世の生活の中で自分のことだけを考えがちな日々の中にあって最も大切なことを忘れないように生きることを知らされ、すがすがしい思いに戻ることが出来た。
ようやく春めいて少しづつ暖かくなってきた。桜もまもなく今年も咲いてみんなの心を和ませてくれるだろう。そして全ての人が豊な愛情に育まれて幸せであって欲しいと願わずにはいられない。