各駅停車

昨日、おとついの異常なまでのアクセス数増加に、いかにみなさんがあることに対していろいろ思っていらっしゃるのかが、わかります。





私も、いろいろ考えるところがありました。





私なんかは、今までもけっこうカヤの外状態でしたので、特に心を痛めるような立場ではないのですが、それでもやっぱり、いろいろ思わずにはいられませんでした。





それについて、直接関係は無いことですが、ちょっと昔のことを思い出したので、書きます。





私がバンドをやっていた学生時代。

おりしも当時はバンドブーム。

いろんなバンドがデビューしては大半が半年で消えていくような時代でした。

当時はまさにバンドブームという一大ムーブメントとして、それごと商業主義に飲み込まれたようなものです。

もしかすると、普通ならデビューなんてできなかったバンドが、ブームにのってデビューして、その後の人生が大きく変わってしまったかもしれない。

もしかすると、違う時代に違う売り方をしていれば評価されたはずなのに、商業主義の波に飲まれてしまったがために、思う方向へ行けなかったのかもしれない。

そういう時代だったと思います。





たとえどんなものでも、ビジネスとしてお金が動く以上、まっすぐに自分たちの思うベクトルへ進めるわけではないと思います。

小さく、こつこつと積み重ねてきたものに火がついた瞬間、それは周囲から油を注がれてどんどん大きく燃え上がります。

そして、その火は思わぬ方向へ燃え広がります。

そうなると、本来めざしてきた方向でない方向へ行ってしまったり、いろんな人の利害関係や思惑が絡み合って、もしかしたら一番大切にしなければならない所が見えにくくなったりするのかもしれません。

プロとして何かをやっている以上、利益を出さなければなりません。

人間椅子のように、アルバイトをしながら自分たちの好きな事しかやらない、自分たちの納得できるものしか残さないというポリシーを持って２０年も続けられるのは、ほんの一握りなのでしょう。

特に、だんだんと集団が大きくなっていく過程においては。





しかし。





バンドブームが去って１５年以上たちますが、それでも当時のままの姿で残っているバンドがあり、当時のまま活躍している人がいる。

それは何故？





思うに。

一時的にどんなに形を変えようとも、今ここにいる彼らを好きで居続けたコアなファンがいたからに他ならないと思います。

小さなライブハウスから始めたバンドが、ヒットして、にわかファンを増やし、武道館をいっぱいにするようなバンドになる。

もちろんそこで離れていくファンもいたでしょう。

でも、そのバンドが今もファンに愛され続けてここにあるのは、彼らの進化し続ける部分の中にある、変わらない部分を愛しているからなのでしょう。





バンドの話をフィルターにして、ずいぶんと回りくどい書き方をしましたが。

私が、バンドの話をしたいのではなくて、何を話したいのか、きっとわかってくださる方がいらっしゃると信じています。





自分たちの好きなものが、思わぬ形に変化してしまう事は、ある意味驚きであり、ある意味ショックです。

しかし、ショービジネスの世界で大きくなればなるほど、今後もこういう驚きはついて回ることでしょう。

そこで、「こんなもんか・・・」と諦めて離れていくか、それとも、たとえ全てのものを受け入れることができなくても、自分の可能な範囲で、自分の関われる範囲で、彼らの根底にある変わらない部分を心の目で見て確かめ探し続けるか。

どちらの人が多いかで、きっと２０年後、３０年後の形が決まるのだと思います。

商業主義に飲み込まれて消えるのか。

それとも、コアなファンが支え続けていくのか。





私たちの正念場かもしれません。