木の実幼稚園のゆかいな仲間たち

愛媛県松山市にある『木の実幼稚園』の先生たちによるBlog

挑戦しなければ わからないこともある

2014-01-31 11:36:39 | Weblog


週明けの月曜日(1月27日)の朝に

嬉しいニュースが舞い込んできました。


そのニュースは 『ちびっこ健康マラソン 愛媛大会』 において

卒園児が優勝したというニュースでした 


このマラソン大会の歴史は1984年までさかのぼり、

企業スポンサーが付いて主催・協賛するほど規模の大きな大会で

全国の各都道府県で毎年開催されています。


ここ愛媛でも 県下から各学年・数百人規模の小学生ランナーが集まるそうなのですが、


(おそらくは、エントリーする小学生のほとんどが

 走りに自信があるようなメンバーで、

 その中の競い合いに勝って優勝するって誰だろう?)


と思い、


ニュースを知らせてくれた林のおじちゃんに名前を尋ねて返ってきた返事を聞いて

ひどく納得するのと同時に、すごく感激しました。


彼の名は「ながと りく」君です。

昨年(2013年)園でひらかれた「大寒はだかマラソン大会」において、

レース終盤の最終コーナーにあたる「このみ橋」を渡るタイミングでもう一段加速して

先導役で走っていた大人の私を追い越し

そのまま置きざりにしていった子でした 



その彼が卒園して1年。

県下から大勢のランナーがエントリーする大会で

彼が当時と変わらず先頭でゴールテープを切ったというニュースを聞き、

じーーーんと、感激しました。


(& 「ほーら、彼になら負けても仕方なかったよなー。」 と、ひと安心 



そのニュースを聞いてすぐ、

今月の20日にひらかれた 今年の園のマラソン大会のことを思い出していました。



今年の大寒は1月20日でした。

1週間ほど前から週間天気予報が気になって、

毎朝毎晩ニュースや気象予報を確認する日が続きました。


当初は雨予想だった予報が2日前になって変わりはじめ

当日は曇りときどき晴れの中、無事実施にこぎつけました 


この大会にはカリキュラム上、大きな目標があります。

達成感と競争意欲です。



達成感とは、

1年を通じてプレイコートを使用して「走る」ことや「体力づくり」をしてきた成果として

『自分のペースで 最後まで走りきる』 ということにこだわり、

その達成感を 身をもって味わうということです。



そして競争意欲とは、

小学校への進級を控えた幼児期における心の育みの一つとして

たとえ年に数回であっても「順位」というものの存在を子どもに単純明快に示し、

順位が上がる喜びや そうでないときの気持ちを味わって 競い合いというものを知り、

そして、それに挑もうとする意欲を育むということです。



今日は このうちの後者について、

今年の園のマラソン大会のエピソードを交えながら

ブログを読んで下さる方にご紹介できればと思います。



今年の大会も、例年通り大会前に実際のコースに出て

2回にわたって「練習会」が行われました。


そしてもう一つ例年通り、

2回の練習会では上位を狙える子どもの順位が目まぐるしく変わりました。


練習会の2回目に、思わぬことが起きました 


優勝を狙える男の子が ゴールしてくる子どもたちの中にいません 

...何が起こったのかと担任の先生に聞いてみると、

「レース中に『勝てそうにない』という気持ちになったとき、

 涙が出てしまって思うように足が動かなくなるようです。」


というニュアンスの話でした。


彼の中に、目には見えない壁があるようです。



そんなこんなで大会当日の朝を迎えました。

スタートを告げるピストルの火薬音が鳴り、

子どもたちが園外に飛び出していきます 


スタート直後の200メートルほどは位置取りのための接触もありますが、

その時間帯を過ぎると子どもたち同士の位置取りができあがり

レース序盤が進んでいきます。


海に向かう直線に入ると、私の少し後ろを走る先頭の男の子から

うめき声のような乱れた息遣いが聞こえてきました。


振り返ると2回目の練習会で順位を落としていた「彼」でした。


彼の内面にある「見えない壁」と向き合うために彼がとったのは

『ただ前だけを見て ひたすら先頭を走る』

という行動でした。


おそらくは その位置取りをするためにスタート直後から猛烈に走ったため

早々に息遣いが荒くなったようです。


そして彼のすぐ後ろには

2回目の練習会で優勝を果たしていた女の子が迫っていました。

そしてそのまたすぐ後ろには

練習会で常に上位に入ってきていた子どもたちが続いていました。


そうこうしているうちにレースは1回目の「折り返しの橋」にさしかかります。


折り返しの橋を渡ると少し下り、その後直線に入ります。

その頃になると、彼の息は整ってきていました。


最初の山場を、どうやら乗り切ったようです。


レース中盤にあたる「2週目」に入ったとき、レースが動きました。


レースを動かしたのは

彼のすぐ後ろにつけていた女の子でした。

集団を抜け出そうとペースを上げました。


先頭付近を走っていた子どもたちのペースが上がり

先導の私も慌ててペースを上げます。


2回目の「折り返しの橋」に向かう直線は

一段上がったそのペースのまま進んでいきました。


そんな中、その日の彼は引き下がりませんでした。


2回目の折り返しの橋を渡るまで

彼の息は再びうめき声のように乱れるのですが、

それでも引き下がりませんでした。


勝負を仕掛けた女の子も大したものです。

ピッタリと先頭を捕らえたまま一向に離れません。


自分から勝負を仕掛けるだけのハートの強さをもったこの女の子に

走りながら驚いていました。



そして2回目の折り返しの橋を渡り切ってレースが終盤に差し掛かると

近くで彼らの足音を聞いている私の方がドキドキしてきました。

どんな結末になるのだろう...。



この大寒のマラソン大会は、37年もの間途絶えることなく続いてきた行事ですが

きっとレースの数だけ子どもたちのドラマがあったんだろうなぁと、

ふとそんな思いが湧いてきました。



そう思った瞬間 

先頭は最終コーナーにあたる「このみ橋」に差し掛かりました。


ここでまた驚くことが起きました。

レース中 ずっと追いかけられ、仕掛けられてきた彼が

このレースで初めて仕掛ける側に転じました。


橋を渡るためコーナーを曲がった直後に

スパートをかけました。


あとで考えると

結果的に彼のこの時のスパートは、

すぐ後ろにいた女の子が再び仕掛けたかもしれないスパートより

ほんの僅かに早く仕掛けたスパートになりました。


この女の子とすぐ後ろに控えた子どもたちは

先頭の彼に続いて橋を渡るためにコーナーを曲がるのですが、

その時だけはわずかにペースが落ちます。


たまたまなのか もともと彼は決めていたのか

一足早く最終コーナーを曲がった自分だけがスパートできるタイミングで

彼は仕掛けていたのです。


  




そのまま彼は先頭を譲ることなく園に帰ってきて

ゴールテープを切りました。


年少で走り始めて3年。

惜しい惜しいと言われてきた彼の手が

初めて「優勝」というタイトルに届いた瞬間でした。


レースを終えた子どもたちの近くで

ご家族の方が見守ってくれていました。


最後まで先頭を捕らえようとしていた「りむ」ちゃんは、

家族の体に顔をうずめたまま

涙が止まりません。


それくらい、

立てた目標のために今日まで練習してきたのでした。



優勝した「りょう」君は

なぜか喜びを爆発させることもなく はにかんだまま

すぐそばで泣いているりむちゃんを

気遣うようにチラチラと見ていました。


彼もまた、その日までずっと練習をしてきたので

りむちゃんの気持ちがわかったのかも知れません。


そして、りむちゃんの後ろでは

練習会でグングン順位を上げていたあっくんや

年中の時に優勝を果たしていたもえちゃんの目からも

ポロポロと涙がおちていました。




残念ながら 私は先頭の方しかよく見られなかったのですが、

マラソンコースを走る子どもたちのそれぞれの場所で

それぞれがいろんな思いで走っていたのだと思います。


大会当日の前に 「目標は〇番より少ない番号」とか

「〇〇ちゃんより前に行く」とか

そんな言葉がよく聞かれました。


順位だけが目標のカリキュラムではないので

そういう形でそれぞれが目標をもてていたことが良かったなと思いました。



さて実は、朝の嬉しいニュースには続きがあります。

同じ日のお昼近くになって 5年前に卒園した「にしおか かずや」君が

5年生クラスで優勝したというニュースが届きました。

彼は何年も愛媛大会に出場し続け

今年ついにタイトルを手に入れたそうです 




さぁ 今年のマラソン大会の先には

どんなドラマが続いていくのでしょうか。


運動であってもなくても

目標を描いてみて それに挑んでみたり

出てくる結果を嬉しく感じたり 悔しい思いをしたり

或いは マラソンのように達成感を味わったり

「(あぁ やれやれ終った...)」という安堵感を味わったり


そんな心の育みを通じて成長の種を心の中に一粒一粒蒔きつつ

小学校へと送り出してあげたいです。


「争い」ではなく「競い合い」。

「周りとの競い合い」もあれば「自分との競い合い」もあります。


  



これからも、競い合いの姿を変にねじ曲げることなく、

単純明快に示していってあげたいです。



それはそれでさておき...

みんな本当によく頑張りました 


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