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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

石炭火力推進の日本② 成長戦略の柱に位置づけ

2018-07-19 13:53:44 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
石炭火力推進の日本② 成長戦略の柱に位置づけ
海外の石炭火力発電事業への公的支援については、日本など一部の国が「いかなる規制にも反対」という立場をとり続けていました。国内外の強い批判を受け、2015年11月、経済協力開発機構(OECD)の輸出信用作業部会において、「気候変動対策の観点から、高効率の石炭火力発電技術のみ公的輸出信用の付与が認められる」合意をしました。

「規制」の抜け穴
ところが、その内容には抜け穴があります。16年末までに入札が行われるものは規制対象外とする経過措置と、「低所得国、低電力化率国、島娯(とうしょ)国」向けの発電容量の小さいものについてはCO2排出の多い設備も容認するものとなっています。
今年4月、国際協力銀行(JBIC)が融資を決定したベトナムの石炭火力発電所は、「高効率」ではありませんが、日本政府は、先のOECDにおける合意の抜け穴を「活用」して、「問題ない」と開き直っています。
安倍晋三内閣は、13年5月の経協インフラ戦略会議において「インフラシステム輸出戦略」を決定し、「2020年に約30兆円(10年の実績は約10兆円)のインフラシステム受注(事業投資による収入額等含む)」を成果目標として設定しました。
16年のインフラシステム受注実績は約21兆円で、分野別では情報通信(9兆円)が最も多く、エネルギー(4・7兆円)が続きます。前年比では、エネルギー分野の増加(0・4兆円増)が寄与していると評価しています。
また、首相によるトップセールスの実施件数は、13年以降は12年と比較して毎年3倍の伸びで、閣僚も含めると17年までで実に677件にものぼり、「総理・閣僚等による強力なトップセールス」と成果を強調しています。



石炭からの離脱を求めてベルリン市内を行進するデモ=6月24日(伊藤寿庸撮影)

内外の批判必至
18年6月7日に決定した同戦略改訂版では、「先進的な低炭素技術の海外展開支援」として、高効率火力発電、原子力発電など「わが国が比較優位を有するインフラの海外展開を促進する」ため、「公的金融による支援を強化」すると明記しました。
6月15日に閣議決定した「未来投資戦略2018」でも、「海外の成長市場の取り込み」において、「日本企業の国際展開支援」として、「電気・ガス事業者等多様な主体による国際展開」など「インフラ整備促進のため公的金融支援を強化する」と位置づけています。
7月3日に閣議決定した第5次エネルギー基本計画においても、「インフラ輸出等を通じたエネルギー産業の国際展開の強化」として、高効率火力発電や原子力など「相手国のニーズに応じて、わが国の持つ優れた技術の幅広い選択肢を提案していく」としています。
未曽有の原発事故を起こした日本が、原子力を「優れた技術」として輸出するなど論外です。また、石炭火力発電は最新のものであっても、パリ協定の2度目標と整合性はありません。今年2月、外務省の「気候変動に関する有識者会合」は、「石炭火力輸出への公的支援は速やかな停止をめざす」と提言。環境省のESG(環境・社会・ガバナンス)金融懇談会でも、今年6月、「議論の整理」として、「わが国金融業界においても、世界の潮流と危機感を共有すべき」だとしています。
来年6月には、日本が議長国となって、主要国に新興国を加えた20カ国・地域(G20)の会議が開催されます。「先進的な低炭素技術」として、海外での石炭火力発電を推し進める日本政府に対し、国際社会の批判がますます厳しくなることは必至です。途上国への支援はエネルギー効率化と再生可能エネルギー開発中心へと転換していくべきです。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年7月18日付掲載


ドイツなどのEU諸国では脱炭素が常識になっているのに、日本は「規制」の抜け穴を利用して石炭火力の売り込みをするなんて許せませんね。

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