消費税に頼らない共産党の財源案① 大企業優遇見直し4兆円
安倍晋三政権が10月に強行を狙う10%への消費税増税に反対の声が広がっています。一方で「消費税増税は嫌だけど、代わりの財源はあるのか」などの声もあります。日本共産党は社会保障や教育の財源は消費税に頼らずに確保できる「財源提案」をしています。

多額の研究開発減税が適用されているトヨタ自動車の本社ビル=愛知県豊田市
中小企業並み負担に
法人税は中小企業の軽減税率を除けば同じ税率になっています。しかし、実際には大企業の法人税実質負担率は中小企業の半分程度となっています(グラフ)。もっぱら大企業だけが利用できる優遇税制があるからです。
この大企業優遇税制を見直すことで4兆円程度の財源を見積もることができます。
大企業優遇税制の代表格は研究開発減税です。この制度は企業の研究費増加を促進するという口実で設けられたものです。発足当初「研究費が増加した」企業だけが対象でしたが、2003年度からは「研究費の総額に応じて」減税する制度に変更されました。その後さらに「研究費が増えた場合」や「研究費が特に多い場合」などにはさらに上乗せ減税する仕組みが追加されています。
研究費と法人税が多額の大企業ほど恩恵が大きくなります。17年度の研究開発減税総額6660億円のうち、89・7%にあたる5976億円が資本金10億円超の大企業に適用されています。トヨタ自動車はずば抜けて多額の研究開発減税を受けており、17年度は797億円にのぼります(財務省資料では企業名は公表されないため、推定)。こうした一部企業への事実上の補助金となっている研究開発減税を、中小企業向けを除いて廃止すれば0・6兆円の財源となります。

利益圧縮の制度
大企業の利益を圧縮し、法人税を安くするしくみとして、受取配当益金不算入という制度があります。国内の他の会社から受け取った配当を利益に含まないことにして、課税対象から外す制度です。子会社がたくさんあったり、株式持ち合いをしている大企業ほど恩恵を受けます。アベノミクスのもとで株価がつり上げられているため、対象額が急増しています。この制度の見直しで国と地方を合わせて1・3兆円程度の増収になります。
外国に子会社を持つ企業には09年から外国子会社配当益金不算入が適用されています。それまでは外国に設立された子会社から日本の親会社への配当については、親会社の所得に含めて法人税を計算した上で、外国で納めた法人税額を差し引く外国税額控除制度が適用されていました。以前の制度に戻すだけで0・6兆円程度の財源が見込めます。
100%出資の国内子会社であれば、親会社と子会社の所得を合算して法人税を計算する連結納税制度を利用することができます。多くの大企業がこの制度を利用しています。連結納税制度を適用するとグループ企業の赤字と黒字は椙殺され、減税になります。連結納税制度を廃止した場合、0・5兆円の財源になります。
その他、「投資促進」目的の減税制度の見直しやタックス・ヘイブン税制の強化なども行うことを提案しています。(つづく)(3回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年3月5日付掲載
普通に考えると、大企業は中小企業より多くの税金を納めているように思われますが、実際はあの手この手で税金をまけてもらっています。
ひとつは、研究開発減税。もうひとつは、受取配当益金不算入。
研究開発の結果、利益があがっているのだから、減税は見直すべきです。納めるべき税金は納めるべき。
安倍晋三政権が10月に強行を狙う10%への消費税増税に反対の声が広がっています。一方で「消費税増税は嫌だけど、代わりの財源はあるのか」などの声もあります。日本共産党は社会保障や教育の財源は消費税に頼らずに確保できる「財源提案」をしています。

多額の研究開発減税が適用されているトヨタ自動車の本社ビル=愛知県豊田市
中小企業並み負担に
法人税は中小企業の軽減税率を除けば同じ税率になっています。しかし、実際には大企業の法人税実質負担率は中小企業の半分程度となっています(グラフ)。もっぱら大企業だけが利用できる優遇税制があるからです。
この大企業優遇税制を見直すことで4兆円程度の財源を見積もることができます。
大企業優遇税制の代表格は研究開発減税です。この制度は企業の研究費増加を促進するという口実で設けられたものです。発足当初「研究費が増加した」企業だけが対象でしたが、2003年度からは「研究費の総額に応じて」減税する制度に変更されました。その後さらに「研究費が増えた場合」や「研究費が特に多い場合」などにはさらに上乗せ減税する仕組みが追加されています。
研究費と法人税が多額の大企業ほど恩恵が大きくなります。17年度の研究開発減税総額6660億円のうち、89・7%にあたる5976億円が資本金10億円超の大企業に適用されています。トヨタ自動車はずば抜けて多額の研究開発減税を受けており、17年度は797億円にのぼります(財務省資料では企業名は公表されないため、推定)。こうした一部企業への事実上の補助金となっている研究開発減税を、中小企業向けを除いて廃止すれば0・6兆円の財源となります。

利益圧縮の制度
大企業の利益を圧縮し、法人税を安くするしくみとして、受取配当益金不算入という制度があります。国内の他の会社から受け取った配当を利益に含まないことにして、課税対象から外す制度です。子会社がたくさんあったり、株式持ち合いをしている大企業ほど恩恵を受けます。アベノミクスのもとで株価がつり上げられているため、対象額が急増しています。この制度の見直しで国と地方を合わせて1・3兆円程度の増収になります。
外国に子会社を持つ企業には09年から外国子会社配当益金不算入が適用されています。それまでは外国に設立された子会社から日本の親会社への配当については、親会社の所得に含めて法人税を計算した上で、外国で納めた法人税額を差し引く外国税額控除制度が適用されていました。以前の制度に戻すだけで0・6兆円程度の財源が見込めます。
100%出資の国内子会社であれば、親会社と子会社の所得を合算して法人税を計算する連結納税制度を利用することができます。多くの大企業がこの制度を利用しています。連結納税制度を適用するとグループ企業の赤字と黒字は椙殺され、減税になります。連結納税制度を廃止した場合、0・5兆円の財源になります。
その他、「投資促進」目的の減税制度の見直しやタックス・ヘイブン税制の強化なども行うことを提案しています。(つづく)(3回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年3月5日付掲載
普通に考えると、大企業は中小企業より多くの税金を納めているように思われますが、実際はあの手この手で税金をまけてもらっています。
ひとつは、研究開発減税。もうひとつは、受取配当益金不算入。
研究開発の結果、利益があがっているのだから、減税は見直すべきです。納めるべき税金は納めるべき。
大企業の優遇税制を改めれば、消費税に頼らず運営ができます。