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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

コロナ禍と資本主義 宅配の闇⑥ 個人事業主は「調整弁」

2022-03-25 06:57:45 | 働く権利・賃金・雇用問題について
コロナ禍と資本主義 宅配の闇⑥ 個人事業主は「調整弁」

トラックドライバーの労働条件が悪化したきっかけは、1990年施行の「物流2法」(貨物自動車運送事業法と貨物運送取扱事業法)にさかのぼります。
狙いはトラック事業への参入規制と運賃規制の緩和でした。ヤマト運輸や一部の労働組合は、市場が活性化して労働条件が改善するなどとして、歓迎の姿勢を示しました。
日本共産党は当時、雇用の不安定化を招く恐れがあると「物流2法」を批判しました。
実際、法律の施行後、事業者数が急増して過当競争が発生。運賃の決定方法が事実上自由化されたため、物流業務を発注する荷主の価格決定権が強まりました。バブル崩壊に伴う不況で運賃が低下し、トラック運送業者は経営維持のために人件費を削らざるを得なくなりました。ドライバーの労働条件は悪化し、現場は慢性的な人手不足に陥っていました。



首都圏で荷物を配達する宅配ドライバーの男性

法の適用外
そこへ登場したのがインターネット通販です。97年に楽天が設立されて以降、ヤフーショッピングやアマゾンが相次いで参入。荷量の膨張を伴って各社は急成長していきました。労働現場に配送負担を転嫁し続けた結果2017年、ついに「宅配クライシス(危機)」が起きます。便利なネット通販の裏側で、ドライバーが過酷な労働に明け暮れている現実があらわになりました。
ところが、ネット通販大手は労働条件の改善を棚上げにし、物流会社に依存しない自前配送網の強化へ乗り出しました。労働基準法が適用されない個人事業主を使って安上がりな宅配サービスを維持する道を選んだのです。
ヤマト運輸の最大顧客だったアマゾンは、ヤマトへの委託を減らす代わりに、各地の中小物流会社へ配送実務を委託。「デリバリープロバイダ」(デリプロ)と名付け、宅配向けの車両やドライバーの確保などを外注していきました。ほとんどのデリプロは自前で配達車両を手配したりドライバーを雇用したりしません。外部の中小零細業者へ「再委託」し、実配送を個人事業主に丸投げしています。
物流ジャーナリストの刈屋大輔氏は指摘します。
「正社員ドライバーを雇うより、軽トラックの個人事業主に発注する方が、荷物を1個運ぶときのコストがはるかに安くなります。2~3割は違うのではないでしょうか。
ガソリン代や社会保険料は個人事業主の自己負担ですし、荷物が減れば簡単に契約を切れます。アマゾンなどの発注元からすれば、使い勝手の良い労働力です」

負担末端に
アマゾンや楽天はネット上で小売業者と消費者をつなぐ情報技術企業です。「プラットフォーマー」と呼ばれ、ネット通販のルールを決める強大な権力を握っています。宅配事業の委託先もプラットフォーマーの一存で決まります。運送業者はプラットフォーマーの都合に振り回され、そのしわ寄せを受けるのが末端のドライバーたちです。
自社でドライバーや車両を抱えることで発生する固定費を抑えるため、運送会社は1次下請け、2次下請け…への「再委託」を常態化させています。複数の会社が仲介する分、委託料は中抜きされ、ドライバーの収入は数千円単位・で減ってしまいます。
プラットフォーマーを頂点にしたピラミッド型の多重下請け構造の中で、個人事業主のドライバーは、簡単に切り捨てることのできる「安価な調整弁」とされているのです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年3月23日付掲載


運賃の決定方法が事実上自由化されたため、物流業務を発注する荷主の価格決定権が強まりました。バブル崩壊に伴う不況で運賃が低下し、トラック運送業者は経営維持のために人件費を削らざるを得なくなりました。ドライバーの労働条件は悪化し、現場は慢性的な人手不足に。
そこへ登場したのがインターネット通販。アマゾンや楽天のネット通販は、外部の中小零細業者へ「再委託」し、実配送を個人事業主に丸投げ。
個人事業主は劣悪な労働条件に。

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