きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

職場のトラブルQ&A⑤ 月30万の約束が半分しか払われない 全額支払いは労基法上の義務

2019-04-25 13:10:18 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑤ 月30万の約束が半分しか払われない 全額支払いは労基法上の義務
今回はいわゆる「ブラック企業」に関する相談です。ブラック企業とは、労基法などの労働関連法令をはじめから無視し、過重労働やパワハラなどで若者を使いつぶすような会社のこと。2013年の流行語大賞候補にノミネートされるなど、社会問題化しました。

 健康食品の販売会社に営業の正社員として入りました。月給は定額で30万円という約束でしたが、入社して3カ月目に、社長から、「売り上げがノルマに達していないので、今月の給料は半分の15万円にする。いやなら辞めてもらう」と言われ、合意書にサインをさせられました。実際、月末には15万円しか払われませんでした。サインしてしまった以上、もうどうにもならないのでしょうか。

 いいえ、そんなことはありません。労基法24条は賃金について、その「全額」を「直接」、労働者に払わなければならないと定めています。(法令で定める税金等の控除は認められています)
ですから、たとえあなたが減額に同意していたとしても、会社は月給の全額である30万円を支払わなければなりません。
賃金減額への「合意」ですが、「労働者が自由な意思に基づいて合意した」と言えるだけの合理的な理由が客観的にある場合、例外的に有効となることはありえます。例えば、使い込み金との相殺にするような場合ですね。
あなたの場合、「いやなら辞めろ」とまで言われてやむなくサインしたようですから、この例外にあたりません。
賃金の全額払い原則(労基法24条1項)の違反は、30万円以下の罰金に該当する犯罪行為です(同法120条1号)。あなたは、会社の所在地を担当する労働基準監督署に、この事実を申告することができます。(労基法104条1項)
会社側は、あなたがこの申告をしたことを理由としてあなたを解雇したり、その他の不利益な扱いをしたりしてはならないことになっています。(同条2項)
申告を受けた労働基準監督官は、会社に対して、事実の調査をします。違反が確認されれば是正勧告をすることになります。勧告が出れば、会社側は違法にカットした賃金を支払うことが多いと思います。



厚労省の「労働基準関係法令違反に係る公表事案」。企業名も公表されます
↑画像をクリックすると別ページで開きます。

是正勧告にも従わない悪質なケースもあります。労基署の監督官には、労基法違反の罪について警察の職務を行う権限があります。必要な捜査を行い、検察官への書類送検などの刑事手続きをとることもあります。
ブラック企業が増えてきたこともあって、厚生労働省は17年5月以降、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として、労基法違反などで送検された企業のリストを公表しています。19年1月31日掲載分では、448社もの企業がリストアップされています。(写真)
今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年3月10日付掲載


営業社員。金額はちょっと高めだが定額の賃金という約束。残業代がつかないということで、それはそれで問題だと思いますが、いったん約束した賃金を会社側が値切ることは許されない。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 職場のトラブルQ&A④ 妊娠... | トップ | 職場のトラブルQ&A⑥ 「バ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

職場のトラブルQ&A」カテゴリの最新記事