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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

仮想通貨 金融化の申し子④ 実在なくても投資対象

2018-03-17 09:07:49 | 経済・産業・中小企業対策など
仮想通貨 金融化の申し子④ 実在なくても投資対象
中央大学名誉教授 高田太久吉さん

投機取引が本来的に持つ非目的性、非実用性、非現物性が最も端的に表れたのが、2007~10年の金融恐慌の要因になった資産担保証券(CDO)、とりわけシンセティック(合成)CDOでした。

金融保険の一種
この新種のCDOは、バブル最盛期のウォール街(米国の金融街)でCDOに対する需要増に応えて大量に「合成」され、主として欧州の金融機関に売りさばかれました。このCDOの「価値」を支えたのは、信用デリバティブ(CDS)と呼ばれる一種の金融保険の購入者が支払う保険料でした。
本来CDSは、債権者や投資家が信用リスクや投資リスクをカバーする目的で商品化された金融保険の一種です。しかし、これが合成CDOの材料として使われるようになると、債権も証券も保有していない投資家が、直接利害関係を持たない証券や企業のデフォルト(債務不履行)を見込んでCDSを購入するようになりました。
例えば、経営の悪化が予想される企業に対して、債権者ではない第三者が、保険を掛け、予想通りこの企業が倒産したら保険会社から保険金が支払われるという契約です。そして、この投機家が保険会社から購入したCDSが、合成CDOの材料に利用されたわけです。



金融取引を監督する金融庁=東京・霞が関

条件十分に成熟
この例が示しているように、投機的な価値増殖を目指す資本にとって、想定される投資対象の有用性や必要性はまったく問題にならず、その実在性さえ問われません。このように考えれば、07~10年の金融恐慌に至る過程で、今日目の当たりにしているサイバー空間に巨大な投機市場が創造される条件は、すでに十分成熟していたとみなければなりません。ただし、このためには前述のように二つの前提条件があります。
第一は、既存の株式や債券だけでは投資需要を満たすことができない大量の貨幣資本が、富裕層、機関投資家、金融機関さらには企業の手元に蓄積されることです。要するに、インターネット上の投機商品に手を出すことをいとわない貨幣資本の過剰蓄積が進むことです。
第二は、既存の証券取引所のような、一定の規則に基づいて、膨大な取引を集中的に処理する施設なしに、投資家同士が相互に取引の正当性と記録をチェックしながら、継続的に取引するために必要な暗号技術とコンピューター技術の発展です。

仮想通貨が本来の通貨として普及する見通しはきわめて乏しいし、サイバー空間における投機のまん延は資本主義にとって自滅的現象だと思います。他方、仮想通貨を生み出した暗号技術やコンピューター技術が、将来の金融市場だけではなく、政府と市民の関係を含めて社会生活全般にどのような変化をもたらしうるのかについては、別途の検討が必要であろうと思われます。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年3月16日付掲載


会社にかけた保険が投機の対象になるって…。自分の会社の保障のための保険でなくって、完全に儲けのための保険。
その中で広まっている仮想通貨です。

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