きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

人と自然がおりなす 美しき棚田② 世界編

2010-06-14 21:17:53 | 赤旗記事特集
人と自然がおりなす 美しき棚田② 世界編

フィリピン・バナウエ 唯一の世界文化遺産

 相乗りトラックを降りてから2時間かけて山越えし、バナウエのバダッド村へ向かう。すり鉢状の地形が棚田で埋まり、底の方に村がある。
 バダッドの棚田では、行きたい場所があっても、なかなか辿り着くのは難しい。畦道は行きたい方向をあざ笑うかのように、あらぬ方向にカーブしている。村に唯一通じているのはこの畦道だけだ。私は村を見下ろすゲストハウスに泊まった。


◇小宇宙だった
 夜、雲間から月が出た。谷間に石垣の棚田が浮かび上がった。木々の間をホタルが飛び交い、犬の鳴き声が遠くに響く。
 「僕が子どもの時は、みんな民族衣装だったし、田んぼでコメを作り、自給自足の生活を送っていました。外界との接触も少なく、小宇宙といっていい世界でした。平和でしたよ」
バダッド村で民宿を経営しているイフガオ族の男はいった。バナウエは、ルソン島北部のコルディリェラ山脈にあり、首都マニラから車で9時間かかる。1995年、バナウエの棚田が世界遺産に登録された(棚田として登録されているのは、今のところここだけ)。
 そのために観光客がたくさん訪れるようになったが、皮肉なことに、もっと良い生活を夢見て、町に働きに出た若者たちの何人かは、厳しい労働が待っている村には戻らなくなってしまったという。


◇忍耐が必要?
 ここは年間降雨量が3600ミリと多い。棚田上部の森林が水を貯え、渓流となって流れ出る。棚田の水は長いところで数キロメートルにも及ぶ灌概水路によって運ばれてくる。
少し先端が反り返った「宮勾配」のようなカーブを描き、西日本の棚田を思わせるりっぱな石垣。水路を勢いよく流れる水の音が、暑い気候のなかでは心地よい。
 しかし問題は、後継者だけではない。棚田はこのように、山の上にある森林と一体になっているが、近年、違法伐採、焼き畑などによって森林が破壊され、棚田用水の減少、土砂崩れなどの災害をもたらしているという。
 結婚式があったので参加させてもらった。式では、コメを発酵させた酒を飲み、新郎新婦と参列者たちがいっしょに踊った。彼らはキリスト教徒で、地元の神父が式を進行した。そして神父はふたりを前にして「愛は、忍耐」と説教した。結婚もまた棚田作りと同じに、忍耐が必要ということだろう。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年6月11日付けに掲載(金曜掲載)


世界編だけあって、色々でてきます。これからが楽しみですね。
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