ふーむ。ララオ様からいかのような回答が。
初手! (ララオ)
2012-02-25 13:56:06
<設問1>
学問は、真理を探求する営みである。
大学の教授には、真理を探求し、これを社会に発表することで、
一般人が陥りがちな順応主義に立ち向かうことが期待されている。
それゆえ、大学教授という給付を受ける立場でありながら、
真理の探究という職責を果たすために、
研究の自由が保障される。
本件停止命令はXの研究の自由を制約する。
はい。その通りです。
というわけで、設問1の停止命令から考えましょう。
初手から原告が頑張んないといけないのは、次のような手順です。
一 問題提起
1 まず、憲法23条が保障する学問の自由には、研究の自由が含まれる。
2 本問Xの研究は、明らかに医学研究の範疇に含まれる。
3 確かに、Xは、私的な研究の停止命令を受けたわけではなく、
公立大学の研究業務として行う本件研究の停止命令を受けたにすぎない。
4 それでは、このような大規模設備・人員・資金が必要な研究分野において、
公立大学が所属研究者に下す研究停止命令は、
研究の自由の制約にならないと言えるだろうか?
まず、こうした問題提起ができているか、
それとも、単純に研究の自由の制約をいきなり(一1・2の論証のみで)
認定しているか、で、まず、最初のランク分けがついてしまいます。
恐ろしいですねえ。
もちろん、しっかり勉強していれば落とさない問題でしょうが、
ここをスルーしてしまう方も多いのではないでしょうか?
さて、こうした問題提起ができたとして、原告としては
これを自由の制約と認定するための工夫が必要です。
これは、実は急所第二問のような、
給付(大学所属研究者としての研究環境)の撤回・取消・縮減が
権利の制約にあたるか、という状況なのですよね。
この場合、まず考えるべきはパブリックフォーラムですが、
大学所属研究者としての研究環境が
公衆に開かれたものであるはずはなく、
公衆が自由に使えるはずのフォーラムや、という発想はアウト。
そうなると、一つの方向としては、
急所第二問のように、根拠法の趣旨適合解釈です。
viさま(フルネームでなくてすいません。
顔文字は文字化け危険がありますので、このような表記で失礼いたします。)
からのご指摘にそえば、
「遺伝子研究においては大学の研究場所の提供は必要不可欠
大学の研究停止命令は、本件研究を実質的には不可能なものとする。」
という点が、使えそうです。
この点を押して行き、
二 Y県立大学医学部の研究停止命令権限の限界
1 本件研究停止命令は、
実質的には、Xの遺伝子研究の途を閉ざすものであり、
学問発展のために、
各研究者の自由な研究環境を確保するという
憲法23条の趣旨に反するものと解さざるを得ない。
2 このことを踏まえると、
Xは、自律的判断に基づく自由な学術研究を行うことを
職責を担っていると解すべきであり、
そうしたXの職責は、憲法23条の趣旨に照らし十分に尊重されねばならない。
3 Y県立大学医学部のXに対する命令権限の範囲は、
このような点を前提に解釈すべきであり、
憲法23条の趣旨に反する命令は、
命令権限の範囲を逸脱する違法なものと考えるべきである。
位の論証をしたほうがよさそうですね。
・・・・・・。
はい。
最後に一言ですが、こうした内容を表現している注意深い論証の後なら、
「実質的には研究の自由の制約だ」と表現してもいいとは思いますし、
出題趣旨先生も、その程度の表現は許しているようです。
ただ、権利制約について
こうしたXの立場を十分に踏まえた論証が要求されている、
(出題趣旨先生もそういう趣旨の書きぶりです)
という点、注意が必要そうですね。
あと、ララオさんの第二の指摘にも関連しますが、
ここでXの「自由」を主張しすぎますと、
設問2でXの「職責」の話とつながらないので、
ここは注意が必要になるでしょう。
こうして初手、どういう方向から攻めればいいかわかりました。
さて、ここから先は、
いわゆる違憲審査基準的な議論をしてゆくことになりますが、
3にどうやって続けてゆくか、考えてみましょう。
急所第二問と同型にすすめていけばいいんですが、
このテの問題は、本当に難しいんですよね。
初手! (ララオ)
2012-02-25 13:56:06
<設問1>
学問は、真理を探求する営みである。
大学の教授には、真理を探求し、これを社会に発表することで、
一般人が陥りがちな順応主義に立ち向かうことが期待されている。
それゆえ、大学教授という給付を受ける立場でありながら、
真理の探究という職責を果たすために、
研究の自由が保障される。
本件停止命令はXの研究の自由を制約する。
はい。その通りです。
というわけで、設問1の停止命令から考えましょう。
初手から原告が頑張んないといけないのは、次のような手順です。
一 問題提起
1 まず、憲法23条が保障する学問の自由には、研究の自由が含まれる。
2 本問Xの研究は、明らかに医学研究の範疇に含まれる。
3 確かに、Xは、私的な研究の停止命令を受けたわけではなく、
公立大学の研究業務として行う本件研究の停止命令を受けたにすぎない。
4 それでは、このような大規模設備・人員・資金が必要な研究分野において、
公立大学が所属研究者に下す研究停止命令は、
研究の自由の制約にならないと言えるだろうか?
まず、こうした問題提起ができているか、
それとも、単純に研究の自由の制約をいきなり(一1・2の論証のみで)
認定しているか、で、まず、最初のランク分けがついてしまいます。
恐ろしいですねえ。
もちろん、しっかり勉強していれば落とさない問題でしょうが、
ここをスルーしてしまう方も多いのではないでしょうか?
さて、こうした問題提起ができたとして、原告としては
これを自由の制約と認定するための工夫が必要です。
これは、実は急所第二問のような、
給付(大学所属研究者としての研究環境)の撤回・取消・縮減が
権利の制約にあたるか、という状況なのですよね。
この場合、まず考えるべきはパブリックフォーラムですが、
大学所属研究者としての研究環境が
公衆に開かれたものであるはずはなく、
公衆が自由に使えるはずのフォーラムや、という発想はアウト。
そうなると、一つの方向としては、
急所第二問のように、根拠法の趣旨適合解釈です。
viさま(フルネームでなくてすいません。
顔文字は文字化け危険がありますので、このような表記で失礼いたします。)
からのご指摘にそえば、
「遺伝子研究においては大学の研究場所の提供は必要不可欠
大学の研究停止命令は、本件研究を実質的には不可能なものとする。」
という点が、使えそうです。
この点を押して行き、
二 Y県立大学医学部の研究停止命令権限の限界
1 本件研究停止命令は、
実質的には、Xの遺伝子研究の途を閉ざすものであり、
学問発展のために、
各研究者の自由な研究環境を確保するという
憲法23条の趣旨に反するものと解さざるを得ない。
2 このことを踏まえると、
Xは、自律的判断に基づく自由な学術研究を行うことを
職責を担っていると解すべきであり、
そうしたXの職責は、憲法23条の趣旨に照らし十分に尊重されねばならない。
3 Y県立大学医学部のXに対する命令権限の範囲は、
このような点を前提に解釈すべきであり、
憲法23条の趣旨に反する命令は、
命令権限の範囲を逸脱する違法なものと考えるべきである。
位の論証をしたほうがよさそうですね。
・・・・・・。
はい。
最後に一言ですが、こうした内容を表現している注意深い論証の後なら、
「実質的には研究の自由の制約だ」と表現してもいいとは思いますし、
出題趣旨先生も、その程度の表現は許しているようです。
ただ、権利制約について
こうしたXの立場を十分に踏まえた論証が要求されている、
(出題趣旨先生もそういう趣旨の書きぶりです)
という点、注意が必要そうですね。
あと、ララオさんの第二の指摘にも関連しますが、
ここでXの「自由」を主張しすぎますと、
設問2でXの「職責」の話とつながらないので、
ここは注意が必要になるでしょう。
こうして初手、どういう方向から攻めればいいかわかりました。
さて、ここから先は、
いわゆる違憲審査基準的な議論をしてゆくことになりますが、
3にどうやって続けてゆくか、考えてみましょう。
急所第二問と同型にすすめていけばいいんですが、
このテの問題は、本当に難しいんですよね。
viでも顔文字でも何でも構いませんので。
今後ともよろしくお願いします。
憲法が表現の自由とは別に学問の自由を定めた趣旨として、教授が自らの関心に基づき
業務としてであっても、大学の施設等を用いて自由な研究を行いうるという地位を
ベースラインとして保障、または、そのような研究しうる制度を保障しているので、
これを後退させる場合には自由権制約同様の正当化事由が必要であるという論証は
あり得ますでしょうか?
では、顔文字様でいこうかと。
>monaさま
ああ、なるほど。では、ピースさまでいこうかと。
>ゆんゆんさま
それがなかなか難しいのは、
大学教授というのはだれもがなれるものでないので、
誰もが大学施設で研究できるというのを
一般的自由のベースラインにすることが難しいということです。
そのベースラインを享受できる
特権的な研究者を特定するロジックがあれば成り立つ議論でしょう。
命名ありがとうございます。本日から読み方はピースになったようです。笑
本研究は、遺伝子の異常に起因する難病の治療に不可欠であり、社会的にみても真理の探究が強く望まれる研究である。
こうした研究を断念することの不利益は重大であるから、
停止命令はできる限り避けるべきである。
また、同じく人の生命・身体に危険のある手術方法なども医学では積極的に研究されており、
遺伝子研究のみ異なる取扱いをすべき理由はない。
それゆえ、本研究の停止を命ずることができるのは、
本研究の有用性が明らかに認められなくなった場合や
得られる研究成果に比して人の生命・身体に対する危険性が余りにも大きいような場合に限られるというべきである。
むずいっす…
急所第2問の場合は、信教の自由は保障されるが、処分との関係でみたとき、
給付の撤回にすぎないから、制約にはあたらない。
これに対し、平成21年の場合は、給付を受けた上での研究は、
自由権のベースラインとならないから、23条の保障を受けない。
23条の保障を受けるというためには、大学教授について特権があるとの論証が必要となる。
この理解でよろしいでしょうか?
ただ、この理解では、本件研究が23条の保障を受けない以上、
停止命令は、急所第2問のような「圧迫」にもならないのではないでしょうか?
何かトンチンカンなことを聞いているような気がしますが、ご指導よろしくお願いします。
出題趣旨先生は、そういう論証を望んでいるようにみえますね。
ちょっと考えてみます。
>Jiroさま
最後の指摘が通るなら、
急所第2問でも、圧迫は認定できないはずです。
このX先生がやっていることを、
X先生の私設研究機関でやっていたら、
これは、23条の保護を受けるはずです。
もすこし考えてみてくだされ。
ちょっと私の知能が足りておらず、もう少しヒントをくださるとありがたいですm(_)m
>このX先生がやっていることを、
>X先生の私設研究機関でやっていたら、
>これは、23条の保護を受けるはずです。
ここは理解できます。
その上で、本件研究は、事実上、大学等の施設がなければなしえないものであるから、
停止命令は、その分野における研究に対する「圧迫」になるということでしょうか?