kimitsuku独り言

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懐かしい味・懐かしい人

2019年03月16日 | 日記
       
 旧い諺に「名物に美味いもの無し」とか聞きますが、中にはイヤイヤと否定したくなる美味なる名物もありますよね。
そのひとつが北海道は江差の銘菓『五勝手屋羊羹』です。江戸時代後期に、本州から当時コカイテ(波のくだける所)と呼ばれていた此の地に移り住んだ人々によって栽培された金時豆と、北前船で運ばれた寒天砂糖を使用して
作られた羊羹が原型だそう。屋号はコカイテ⇒五花手⇒五勝手(ごかって)と変わって来たとか…。羊羹の基本的な
製法は現在も変わらず職人たちに受け継がれているそうです。羊羹は丸い筒状の形をしており、手を汚さない為の
配慮でしょうか、糸で切り分けながら頂くのが特徴です。
                           
 此の『五勝手屋羊羹』を見ると思い出す人が…以前に勤めていた特別養護老人ホームに入所していたH女さん。
50代後半の盲聾唖の方で、時折り江差から家族が面会に来られ、お土産に持って来られる此の羊羹を上手に食べていた様子が今も眼に浮かびます。最初に筒の周囲を揉んで柔らかくし手探りで糸を見つけ、一口大に切り分けて
口に入れ実に美味しそうな笑顔でした。いつも老母と弟夫婦が一緒に来園していましたが、Hさんの掌に何か書くと家族と分かって大喜びでした。此処に入所するまで、優しい家族に囲まれ大切に育てられたことが想像できました。やがて母親が亡くなったと知らせがあり、間もなくH女さんも後を追うように此の世を去りました。
 高齢者介護の職を通して多くの方々と触れ合いましたが、甘い北海道銘菓『五勝手屋羊羹』を見るたびに甦るH女さんの思い出です。
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