KIMISTEVA@DEEP

新たな「現実」を構成するサブカルチャー研究者kimistevaのブログ

41プラスマイナス16 キロのルミナ

2006-04-24 10:01:27 | お仕事
「でもいいんだ。やせているときのルミナと太っているときのルミナは別人のような抱き心地で、ふたりの女の子とつきあっているみたいだし、ぼくは41プラスマイナス16キロのルミナが好きなんだから。」
(石田衣良『4TEEN』より「月の草」)

看護学校の授業のカリキュラムは基本的に前任者のものを受け継いでいるので、今日の授業からは「朗読プレゼンテーション」が入ります。

前任者は、「耳を鍛える」という意味合いでやっていたようですが、わたしはただ単に、自分の好きな本とか自分にとって大切なことばを他者と共有することができたら良いな…ってそんな意味あいでやることにしています。

上の一節は今日、わたしが発表する一節。朗読それ自体は四ページ読みますけど、伝えたいのはこの部分だけです。

率直にいうと、本当に救われました。この一節に。

「41プラスマイナス16キロのルミナが好きなんだから」
…これほど、男の子の優しい強さをあらわした文章って、そんなにないと思う。
わたしは、実際に「プラスマイナス16キロ」を経験しているけど、それだけで救われたわけじゃない。

わたしは、自分のことが嫌い。
自分の嫌いな側面はどんなにがんばっても、拭いされなくて、だからそんなところを親しい人に指摘されて、そのことでネガティブな反応をされるたびに、「わたしなんていない方がいいよね」…って思う。

で、できるだけ、受け入れ可能なところだけを出そう!認められるところだけを出そう!…って思ってがんばるのだけど、たまに、そんなにがんばってる自分が虚しくなる。

結局、がんばったところで…っていうか、がんばればがんばるほど、わたしの誰にも見せない汚い側面はそのまま残されていって、「どうせ、表面の部分だけが好きなんでしょ」…っていう不信感でいっぱいになる。

「41プラスマイナス16キロのルミナ」
やせているスマートなルミナも、「太っていて人には見せられない」とルミナ自身が否定するルミナも、

僕は大好きなんだよ。

これって、あまりに強くて、あまりに優しいことばだと思う。
わたしは、このことばが本当に好き。わたしが囚われている、わたしを否定しようとするあらゆる言葉を撹乱してくれる気がするんだ。

だから、今日はこれを発表してきます。