サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

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DNA保存(シェークスピアがDNA貯蔵される日の近さ度80点)

2013年01月27日 | それでも世界は回る

音声や文章をDNAに保存し、ほぼ完璧に再生=英ネイチャー誌

科学者たちは、オーディオ(音声)やテキストをDNAの断片の形にして貯蔵し、それを完璧に近い忠実さで再生することに成功した。いつの日か、デジタル時代の膨大な情報量を扱う新たな方法を提供する可能性がある。この実験結果は23日、英科学誌ネイチャー最新号で紹介された。

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Getty Images

 科学者たちが今回、DNAにエンコード(暗号化)したのは、マーティン・ルーサー・キング牧師の有名な「I Have a Dream(わたしには夢がある)」演説のオーディオクリップ、写真、ワトソン、クリック両博士の「DNAの二重らせん構造」に関する科学論文(1953年)、そしてシェークスピアのソネット(14行詩)154編だ。科学者たちはこれらを99.99%の正確さで再生できた。

 ネイチャー論文の主執筆者で英ヒクストンにある欧州バイオインフォーマティクス研究所の計算生物学者ニック・ゴールドマン博士は「われわれがしていることは、自然が創造したものを応用することだ。それは情報を貯蔵するのに極めて有効な方法だ」と述べた。

 DNAは、あらゆる生物が持つ遺伝子情報を含む分子で、データの貯蔵庫として最も効率的なものの一つだ。それは安定しており、維持可能で濃密だからだ。理論的には1カップのDNAで、高精細度(HDV)ビデオ約1億時間分を何万年にもわたって貯蔵できる。

 DNAへのデータの貯蔵が商業的に見合うようになるのはずっと先のことで、高コストが大きな障害の一つだ。しかし科学的な障壁は切り崩され始めている。昨年8月、ハーバード大学の研究者たちは5万4000語の本1冊全体を「より糸」状のDNAの形に暗号化したと科学誌サイエンスで発表した。

 サイエンス誌に掲載された実験プロジェクトの上級研究者でハーバード大学の分子遺伝学者のジョージ・チャーチ氏は「これらの実験は極めてよく似ている」と述べ、「これらは真に独立した努力の成果であることから、われわれは単に1グループではなく本物のフィールド(領域)がここに存在することを示した」と述べた。

 

 同氏によると、いずれの実験も同じような量の情報を暗号化しており、ほぼ同じ正確さであったという。

 欧州バイオインフォーマティクス研究所は、欧州の旗艦的な生命科学実験所である欧州分子生物学実験所(EMBL)の一部だ。EMBLは欧州の20カ国からの公共研究資金によって運営されている。

 企業、政府、そして大学は、洪水のようにますます増大するデジタル情報の貯蔵という途方もない難題に直面している。磁気テープは10年以内に劣化する可能性がある一方で、ハードディスクは高価で恒常的な電気供給が必要だ。そこで、一部のコンピューター専門家は生物学に答えを求めてきた。

 近年、彼ら研究者は細胞の中に商標を暗号化し、バクテリアの中に詩を暗号化する方策を見いだしたほか、微生物の遺伝子コードに音楽の断片を貯蔵する方策を見いだした。しかしDNAには自然に着想を得たその他の方法に比べはるかに優れた点がある。DNAは無生物なため、試験管の中から動かず生物学的な変化を被ることがないことだ。

 欧州バイオインフォーマティクス研究所のゴールドマン博士らのチームはまず、キング牧師の「わたしには夢がある」演説の26秒間のオーディオクリップやソネットなど保存したいものをデータ化してコンピューターにダウンロードした。このデータは通常のコンピューター用コードで、「1」と「0」の長い列になっている。ゴールドマン博士のチームが考案したソフトウエアプログラムがこうした「1」と「0」の配列を、DNAを構成している化学基(塩基)である「A(アデニン)」「C(シトシン)」「G(グアニン)」「T(チミン)」という4つのアルファベット文字に転換した。

 そして、単一で長いDNAベースのひもを約15万個の断片(おのおのの断片の長さは120文字分)に切断した。一つの断片には約100文字が含まれており、データが暗号化されている。残りの20文字は後ほどこれらの断片を正しい順序に再生させるインデックスインストラクション(索引指令)のような役割を持たせた。

 この情報は米アジレント・テクノロジー社(カリフォルニア州サンタクララ)に送られ、同社の実験装置がこのデータと適切な化学物質を使って、DNAの物理的なひもを製造した。そして、これらのDNAの断片が英国のゴールドマン博士の実験室に送り返された。

 ゴールドマン博士は「わたしはガラスの小瓶が届いた際、中は空ではないかと思った」と述べた。しかしそこにはDNAがあった。小瓶の底に塵(ちり)状の微小片があり、肉眼ではほとんど見えないほどだった。

 若干の実験作業のあと、DNAはドイツ・ハイデルベルクのEMBL実験所に送られた。そこにあるDNAシーケンシング(並び替え)装置がこれらの断片にレーザーを照射して遺伝子コードを読み取り、「A」、「C」、「G」、「T」という塩基形態のコンピューターファイルを作製した。

 そこで、これが英ヒンクストンの欧州バイオインフォーマティクス研究所にまた戻され、コンピュータープログラムで断片を正しい順序に再構築し、その後、「1」と「0」の数字に戻した。ラップトップコンピューター上ではこれらの「1」と「0」がオリジナルのオーディオクリップやソネットなどとして解釈された。キング牧師の演説のオーディオクリップが再生された際、それはまさにオリジナルと同じように耳に響いた、とゴールドマン博士は述べている。

 DNA貯蔵が有用な技術になるまでには多くの難題がある。DNAの書き込みは依然として経費が極めて高くつく。またこの方法が商業的に成功するには、安く確実なプロセスにしなければならないだろう。

 ゴールドマン博士は「10年後には、恐らく100分の1のコストに下がるだろう」と述べ、「その時には恐らく経済的に実用化できるだろう」と予想している。

データ貯蔵庫としてのDNA。
もともとニューロコンピュータやバイオコンピュータの論議の頃から、生物学的アプローチはあったのだが、それはもともと人間が脳の中でおこなっているような、複雑で素早い指示系統の処理速度の議論が中心だったように思う。


今回の議論は、DNAそのものをビッグデータの貯蔵庫にしてしまえということだ。
エンコードの方は意外と早く実現するだろう。
アレクサンドリアの図書館ぐらいは、たとえば僕ひとりの一部のDNAを使えば十分かもしれない。
デコードの方は、わりと難儀するかもしれないが、単に照会機能を持たせるぐらいなら、最初に指示コードを細工しておけば大丈夫だろう。

問題は、その膨大なデータを、引っ張り出してある状況で朗々とシェークスピア悲劇の一節を引用できるかどうかということだ。

インド映画も最近はSFにも挑戦するようになり、先日は『ロボット』という映画で、人間型ロボットが百科事典や雑誌をパラパラと超高速でスキャニングして、「学習」するシーンがあった。

結局のところ、知識量だけではなく、その発想の仕方、連想の仕方、と言った「クリエイティブ」な面に人間古来の最後の砦があるのかもしれないが、それとても「美」とはなにか、「創造性」とはなにか、「閃き」とはなにか、というレベルでいえば存外人間の専売特許ということはいえなくなる日がくるかもしれない。

 

 

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