陶芸界に新風を吹き込む女性陶芸家であり、息子の発病をきっかけに骨髄バンク運動を始めた神山清子を描いた作品。監督は『愛の新世界』『光の雨』の高橋伴明。窪塚洋介の実弟の窪塚俊介が清子の息子役で出演している。神山清子本人が作成した映画に登場する数百点に及ぶ陶芸作品は必見。[もっと詳しく]
鬼神のようで菩薩でもあり。神山清子の鮮烈な生きかたが憑依する。
独自の古代穴窯による自然釉で陶芸界に新風を巻き起こした実在の女性陶芸家を、田中裕子がその執念が乗り移ったかのような見事な演技で、僕たちを圧倒する。
信楽に行った際に、神山清子のことをある程度は知る機会を得た。が、これほど激しい人であったとは・・・。
陶芸家を志した動機、若い愛人と逃げ出した夫との同居のはじまりは知らない。しかし、清子は、夫の出奔などせいせいしたともみえるような風情で、ふたりの子供を抱え、極貧のなか、一心不乱に窯に薪をくべ続ける。何度やっても、緑色のビードロ色がでない。初期信楽の幻の色の再現である。作っては壊し、壊しては作り・・・。
「火火」には、この幻の信楽の再現というドラマと重ねて、もうひとつのドラマが生起する。
同じく陶芸家を目指し、清子の「しごき」にも悩みながらもついてきていた息子の賢一が、白血病で倒れたのだ。
治療は骨髄移植しかない。しかし、適合するドナーを探し当てるのは、とても困難なことだ。命は待ってくれない。
ここでも、清子は諦めない。
病床で絶望に沈む賢一を、杖で殴りつけながら、「頑張らんかい!」とカツを入れる。
そして、病気と移植の実態を探るうちに、ドナーを増やすことの必要性を感じ、ついには「骨髄バンク運動」を巻き起こし、その協会の立ち上げに大きな役割を果たしたのだ。
たぶん日本のドラマでもっとも世界に輸出された映画「おしん」。あれから、数十年が経過している。
田中裕子。沢田研二の妻の座も射止めた。多くの映画や芝居に、実力派女優として、出演している。
しかし、今回の「火火」ほど、鬼気迫る演技を、少なくとも、僕は観ていない。
小柄な田中裕子いや神山清子がもんぺ姿で歩いてくる。髪もざんばらだ。呟いているのか、呪っているのか、ぶつぶつぶつぶつ。
子供たちにも、容赦はしない。真正面から、立ち向かう。
窯に火をくべ始めたら、不眠不休だ。狂気(神)がおりなければ、やっていられないかもしれない。
普通の母親には遠い存在かもしれない。激しい、激しい、芸術家としての生き様。
窯と同じく、自分の心に、止まることなく火を燃やし続けなければならない。
田中裕子は、そんな鬼神の演技を、どうやって手に入れたのか?
そして、全国の白血病の家族と連絡を取り、子供を見舞い、息子を励まし続ける。そこでは、菩薩のような表情を見せる。
全共闘世代であり、「幼な妻」で衝撃のデヴューを果たした関根恵子(1955年生まれ)と結婚した高橋伴明(1947年生まれ)監督。
タイガーズのあとも、決して、怯むことのない沢田研二(1948年生まれ)と結婚した、女優田中裕子(1955年生まれ)。
期せずして、ほぼ同じ年恰好の、夫婦である。
このいずれも50代から60歳にかけての二組の芸能界夫婦にきっと、神山清子の激しい生き方は、なんらかの波動を与えているのであろう。
鬼神のようで菩薩でもあり。神山清子の鮮烈な生きかたが憑依する。
独自の古代穴窯による自然釉で陶芸界に新風を巻き起こした実在の女性陶芸家を、田中裕子がその執念が乗り移ったかのような見事な演技で、僕たちを圧倒する。
信楽に行った際に、神山清子のことをある程度は知る機会を得た。が、これほど激しい人であったとは・・・。
陶芸家を志した動機、若い愛人と逃げ出した夫との同居のはじまりは知らない。しかし、清子は、夫の出奔などせいせいしたともみえるような風情で、ふたりの子供を抱え、極貧のなか、一心不乱に窯に薪をくべ続ける。何度やっても、緑色のビードロ色がでない。初期信楽の幻の色の再現である。作っては壊し、壊しては作り・・・。
「火火」には、この幻の信楽の再現というドラマと重ねて、もうひとつのドラマが生起する。
同じく陶芸家を目指し、清子の「しごき」にも悩みながらもついてきていた息子の賢一が、白血病で倒れたのだ。
治療は骨髄移植しかない。しかし、適合するドナーを探し当てるのは、とても困難なことだ。命は待ってくれない。
ここでも、清子は諦めない。
病床で絶望に沈む賢一を、杖で殴りつけながら、「頑張らんかい!」とカツを入れる。
そして、病気と移植の実態を探るうちに、ドナーを増やすことの必要性を感じ、ついには「骨髄バンク運動」を巻き起こし、その協会の立ち上げに大きな役割を果たしたのだ。
たぶん日本のドラマでもっとも世界に輸出された映画「おしん」。あれから、数十年が経過している。
田中裕子。沢田研二の妻の座も射止めた。多くの映画や芝居に、実力派女優として、出演している。
しかし、今回の「火火」ほど、鬼気迫る演技を、少なくとも、僕は観ていない。
小柄な田中裕子いや神山清子がもんぺ姿で歩いてくる。髪もざんばらだ。呟いているのか、呪っているのか、ぶつぶつぶつぶつ。
子供たちにも、容赦はしない。真正面から、立ち向かう。
窯に火をくべ始めたら、不眠不休だ。狂気(神)がおりなければ、やっていられないかもしれない。
普通の母親には遠い存在かもしれない。激しい、激しい、芸術家としての生き様。
窯と同じく、自分の心に、止まることなく火を燃やし続けなければならない。
田中裕子は、そんな鬼神の演技を、どうやって手に入れたのか?
そして、全国の白血病の家族と連絡を取り、子供を見舞い、息子を励まし続ける。そこでは、菩薩のような表情を見せる。
全共闘世代であり、「幼な妻」で衝撃のデヴューを果たした関根恵子(1955年生まれ)と結婚した高橋伴明(1947年生まれ)監督。
タイガーズのあとも、決して、怯むことのない沢田研二(1948年生まれ)と結婚した、女優田中裕子(1955年生まれ)。
期せずして、ほぼ同じ年恰好の、夫婦である。
このいずれも50代から60歳にかけての二組の芸能界夫婦にきっと、神山清子の激しい生き方は、なんらかの波動を与えているのであろう。
そうそう、ジュリーと結婚したときは、ふぅ~む沢田研二見る目あるじゃん、となんだか嬉しかったです^^
神山清子さんをこの映画を見るまで存じ上げなかったんですが
この方も凄い女性であり母であり仕事人であり芸術家なんだなぁ~・・・と感動しました。
TBさせていただきましたm(_ _)m
ジュリーがピーナッツの片割れと結婚していましたから、当時は、田中裕子の略奪婚のように、週刊誌なんかは、騒いでいたと思いますね。
ジュリーも役者をさせるととてもいいしねぇ。
私は「いつか読書する日」がすごくよかったと思いました。
この映画も岸部一徳さんとのやり取りがおもしろいですよね。
悲劇的な内容を、彼女のコミカルな演技が暗さから救っていました。
すごいと思いました。
そうですね。「読書する日」とこの「火火」を続けて見たんですが、このコンビはいいですねぇ。沢田研二つながりもありますし(笑)
ところで、田中裕子と沢田研二は知っていたけど、高橋伴明監督と関根恵子は知らなかったなぁ。ご教示ありがとうございました。
全共闘世代の人たちは、伴明め、うまいことやりやがってと、みんな思っているんじゃないかしら(笑)
関根恵子さんは、いまや、真如苑の幹部ですが・・・。
いくつか体験すれば、客観視す。置くhるようんになるでしょう。
僕は、こいいう母親っって苦手だけど、いろいろあるんでしょうmね。
その後の「天城越え」も良かった。
90年代はTV出演が多かったわけですが、彼女のようなスケールの大きな役者は、視聴者に迎合しがちなTVより映画でこそ生きると思わせる「火火」そして「いつか読書する日」なのでありました。
遅ればせに鑑賞した2006年のベスト女優に選びました。何の権威もないわけですが(笑)。
>2006年のベスト女優に選びました。
はい、審査委員長殿のご判断を、謹んでお受けいたします(笑)