サーカスな日々

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mini review 09408「ラストブラッド」★★★★★★★☆☆☆

2009年10月17日 | 座布団シネマ:や・ら・わ行

日本のフルデジタル・アニメ『BLOOD THE LAST VAMPIRE』を実写映画化したサバイバル・アクション。運命のいたずらで人類の未来を背負わされたヒロイン、サヤが世界の危機を救うため、人間界にはびこるバンパイアを退治する。セーラー服姿に日本刀をきらめかせる少女サヤを演じるのは、『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョン。サヤと対決する悪役で小雪が登場する。2大アジアンビューティーが体当たりで挑む激しいアクションシーンが見どころだ。[もっと詳しく]

やっぱりいくつになってもセーラー服幻想は抜けないなぁ。

『ラスト・ブラッド』は、なかなかにそそられるエンターテイメント映画だ。
バンパイヤものは欧米映画で見飽きてはいる。そのなかでは、何世紀にもわたる吸血鬼と狼男の種族闘争をベースとして闇の女戦士セリーンの痛い闘いが続く『アンダーワールド』シリーズ3部作がお気に入りである。
しかし、どこかで、これはやっぱりヨーロッパの吸血鬼伝説がベースだからなぁ、と醒めてみている自分に気づくことがある。



もちろん、アジアでも形を変えたホラーやアクションでバンパイヤ伝説は映画になったり、コミックになったりしている。道教世界のキョンシーもかたちをかえた吸血鬼といえなくはないし、こちらは狼への変身だが、手塚治の有名な「バンパイヤ」も控えている。
吸血鬼でいえば、民間伝承の古層には、やはり<血>が生命の根源であると言う観念があるようだ。
そこから死者が血を渇望したり、不老不死伝説につながったり、血を吸われた者は自らも吸血鬼になるという種族現象につながっていく。
東洋の民間伝承で言えば、吸血鬼(バンパイヤ)と類似した概念としては「鬼」ということになるかもしれない。
もともとは中国では鬼(キ)は死者の魂の帰ってきた姿だといわれている。
そこから<異界>の象徴となり、怨霊のイメージと結びついたのであろう。



『ラストブラッド』がそそられるということには、いくつか理由がある。
ひとつはこの物語の原型は、日本が世界に誇るべきアニメ制作集団である「プロダクションI.G」が制作した48分のフルデシタルアニメーションの『BLOOD THE LAST VAMPIRE』であることだ。
この作品には、タランティーノやキャメロンなどジャパニーズ・アニメのオタクたちはこぞって実写映像にすることを希望したらしい。
結局、『HERO』『グリーン・ディスティニー』などの歴史アクション大作で世界をあっといわせたビル・コンがプロデューサーに、ジェット・リー主演の『キス・オブ・ザ・ドラゴン』のクリス・ナオン(仏)を監督に、アクション監督には『レッドクリフPART1』のコーリー・ユン、撮影は『カンフー・ハッスル』のブーン・ハンサンというとんでもない面子が参集したのである。
『BLOOD THE LAST VAMPIRE』は、押井守によって書き下ろし小説にも、玉置勉強によって漫画にも、あるいは50話のテレビアニメにもなっているが、ともあれ、原作が日本発であると言うことは嬉しい限りだ。



もうひとつの理由は、主人公サヤを演じるのが、韓国女優のチョン・ジヒョンであるということだ。
『ホワイト・バレンタイン』(99年)『イルマーレ』(01)といった悲恋物にしても、『猟奇的な彼女』(01年)『僕の彼女を紹介します』(04年)といった気の強いオテンバ物にしても、『4人の食卓』(03年)『デイジー』のようなミステリーが入った役どころにしても、チョン・ジヒョンはとても上手にそれぞれの役になりきっていたが、今回のようなアクション活劇と言うのはもちろんはじめての挑戦である。
当然のことながら、格闘シーンや日本刀の殺陣シーン、ワイヤーを使っての特撮シーンに備えて、3ヶ月の特訓をしたらしい。
もちろん、チャン・ツィイーのような幼い頃からの武術の訓練で身につけた優雅な身のこなしを期待するのは無理であるが、なかなか頑張ってるなぁ、と感心した。
なにより、チョン・ジヒョンがアクションに挑戦するということだけで、意表をつかれるキャスティングである。



でも、本当にそそられるのは、これがセーラー服アクションになっていることだ。
僕たちの世代で言えば、格闘ではないが薬師丸ひろ子のセーラー服姿で機関銃をぶっぱなして「か・い・か・ん」などとのたまう『セーラー服と機関銃』(81年)や、南野陽子が『スケバン刑事』(87年)で「おまんら許さんぜよ!」ってこれもまた痛快な決めゼリフを吐くシーンや、もちろん斉藤由紀、朝香唯のヨーヨー回しのシリーズもなつかしいものだ。
でも、本格アクションといえば、どちらかというと、アニメやファイトゲームのなかでのセーラー服コスチュームがほとんどであった。
ちょっと趣は異なっているが、これも漫画原作ではあるが北乃きいがおさななじみを守るためセーラー服でなかなか見事にハイキックを決める『ラブ・ファイト』(08年)も印象的だった。
あとB級カルトの快作であるが北米のビデオメーカーが脚本・監督に井口昇を起用して制作にのりだした『片腕マシンガンガール』(08年)は、馬鹿馬鹿しくもとてもはまってしまうセーラー服アクションではある。
『ラスト・ブラッド』でも鬼と人間のハーフであり400年生きているサキが(不老不死だが)、セーラー服姿になるからその魅力が倍加したと言うのは、まあいつまでたってもセーラー服幻想が抜けない(笑)嗜好のせいかもしれないが・・・。



ちょっと不満なのは、相手のまだ「翼手」に変身しきれていない「オニ」予備軍が、あまりに弱すぎるということか。アメリカのプロレスラー二人組みぐらいかな、人間の姿の「オニ」がサヤを結構痛めつけたのは。
まあでも、一人対集団戦だから、それはそれでサキの見せ場だからいいとしよう。
アメリカ空軍関東基地があんなの?とか、「トコシギンザ」にそんなホテルなんてないよとか、組織の連中たちがステロタイプ化されすぎとか、悪の起源でありサキの母親でもあるオニゲン(小雪)がもっとグロテスクに変身したらなぁとか、あの和製ドラゴンと呼ばれた尊敬するカトウ役の倉田保昭があんなに年とっちゃったのとか、痛めつけられるアリス(アリソン・ミラー)は見るからにアメリカの学園テレビドラマシリーズに出てきそうなキャラだなとか、いろいろ突っ込みどころもあるのだが、それはそれで、愉しくてしょうがないからのツッコミだ。
強く、切ない、セーラー服姿のおさげが可愛いチョン・ジヒョンが太腿丸出しでアクションをやってくれた、そのことだけでおじさんは満足です(笑)。


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2 コメント

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弊記事までTB&コメント有難うございました。 (オカピー)
2010-04-25 00:46:17
セーラー服がkimionさんの弱点ですか。(笑)
僕も中学の同級生に初恋をしたから、セーラー服を観ると切ない思いが蘇らないでもないですが、特に幻想はないなあ。

見通しが良いお話の為僕は買いたかったのですが、眼目のアクションが誤魔化しの連続で、がっかりしました。セーラー服でも甘くしません。(笑)
オカピーさん (kimion20002000)
2010-04-25 10:29:37
こんにちは。

はい、仰るとおりですね。
まあこの嗜好は、なくならないでしょうね(笑)
それにしても、小雪は謎です。

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