サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

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mini review 10434「スター・トレック」★★★★★★★★☆☆

2010年01月23日 | 座布団シネマ:さ行

テレビドラマや映画でおなじみの「スター・トレック」を再構築し、ジェームズ・T・カークの若き日を描くスペース・アドベンチャー。あるアクシデントによりUSSエンタープライズに乗ることになったカークが、宇宙への冒険で成長していく姿を描く。監督は『クローバーフィールド/HAKAISHA』のJ・J・エイブラムス。カークを演じるのは、『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』に出演しているクリス・パイン。1960年代から続く人気シリーズが、最新のVFXを駆使してどう生まれ変わったのかが見どころ。[もっと詳しく]

リ・イマジネーション版「スター・トレック」を観ながら、中学生の頃にワープした!

「スター・トレック」といえば1953年生まれの僕などの年齢からしたら、やはり第1期の「宇宙大作戦/スター・トレック」である。アメリカでは66年から69年に製作され、日本では少し遅れて放映されている。
その後は5つのテレビシリーズになり、10本の長編映画になり、1本のSFアニメシリーズになっているが、それらを克明に追っている「トレッキー」(スター・トレックおたくの別称)にはもちろんかなわない。
けれども、中学生の頃の僕にとってみたら、それまで兄貴が購読していた「ボーイズライフ」などを貪り読みながら、SFってかっこいいなあと思っていただけだったのが、「スター・トレック/宇宙大作戦」によって、なんとなく「科学っぽい」世界にはまってしまったりしたのだ。
そして、少ない小遣いをはたいて、ちょっと大人の兄ちゃんたちに愛されていた「SFマガジン」を仲間と回し読みし、図書館で古典的SF小説を入れ替わり立ち代り借りるようになったのである。



もちろん、テレビっ子であった僕は、この頃に同じようなアメリカのSFテレビドラマシリーズを夢中になってみていた。
もっとあとから得た知識に過ぎないが、60年代半ばから次々と製作されたSFテレビドラマシリーズの立役者になったのがプロデューサーのアーウィン・アレックだ。
映画では『ポセイドン・アドヴェンチャー』(72年)、『タワーリング・インフェルノ』(76年)などを世に送り出して、「パニック界の巨匠」などと呼ばれたりしたが、60年代はテレビドラマの企画・制作で活躍していた。
ちなみにジーン・ロッデンベリーの原作である「スタートレック」は、当初はこのアーウィン・アレックのもとに持ち込まれている。
けれどそのときアレックは「実はもっとすごい企画を進行中でね」ということでことわったらしい。



それが「宇宙家族ロビンソン」(65年~68年)。
まあお子ちゃま向けの滑稽な宇宙を舞台にしたファミリィー活劇なのだが、間抜けロボットのフライデーとかだんだんロビンソンファミリィーを人気で喰ってしまった悪役のDr.スミスとか、懐かしく覚えている。
そして「原子力潜水艦シービュー号/海底科学大作戦」(64年~68年)。
ネルソン提督にリークレーン艦長だったか。海底で、大冒険が始まるのだが、ともあれ、シービュー号が当時はかっこよくて、プラモまで買ってしまった(笑)。
この作品は、とにかく艦内は男の白人ばっかりで、そのあたりは各民族を参集し知的な女性も登場させる「宇宙大作戦」に負けるところなのだが、僕は欠かさず観ていた。
もうひとつアレックプロデュースで忘れてはならないのは「タイムトンネル」(66年~67年)。
これは、その後のタイムトラベルものの原型のようなテレビシリーズだった。



アレックプロデュース以外で言えば、この頃はまったのは「アウター・リミッツ」(63年~65年)。
いきなり砂嵐みたいな画面が出てきて、若山玄蔵の超低音で「これはTVの故障ではありません」というナレーションが入る奴だ。
それと「トワイライトゾーン(ミステリーゾーン)」(59年~64年)。企画者のロッド・サーリングが冒頭に神妙に一言、ドラマへの招待の弁をしゃべる。日本のその後の「ウルトラQ」とか「世にも奇妙な物語」の原型になっている。
まあマニアにはとても敵わないが、この頃から僕にとってSFというものが、スペースオペラ的なものから、ファンタジー、怪奇、ミステリーの領域と重なっても来るのである。
もちろん、フィリップ・K・ディックなどの不条理SFに時代が到来するのは、もう少し後のことなのだが・・・。



「スター・トレック」に戻ろう。
時系列で言えば、若きカーク船長が描かれているから、さきほどのテレビ・シリーズの第一期「宇宙大作戦」の少し前が舞台である。
長編映画としては11作目にあたるが、どうやらそうした時系列とはちょっと別物として、J・J・エイブラハム監督はもうひとつの「スター・トレック」あるいは量子現実的にいえば並行世界(パラレルワールド)のように、提出したかったようだ。リ・イマジネーションなどとも称している。
若い世代で、旧作シリーズを一通り観ている人は少ない。まったく知らない人にも、「スター・トレック」の歴史舞台、主要なキャラクター、世界観が理解できるような作品を創ろうとしたのだ。
『クローバーフィールド/HAKAISHA』の「宇宙戦争」的な圧倒的破壊力を誇る異星人の恐怖を、手ぶれカメラによる主観映像タッチをからませて見事に演出したJ・J・エイブラハム監督は、どちらかというと『スター・ウォーズ』(77年)の申し子のような世代である。
監督たちスタッフは、「スタートレック・宇宙大作戦」TVシリーズの「水中で動いているようなスローモーな描写」を、『スター・ウォーズ』のようなスピーディーな場面展開の映像に再構築したかった、と言う。
それには、最新のVFX技術ももちろんだし、桁の違う予算もいるのだ、と。
けれど、これは危険な賭けである。
あまりにも有名なシリーズであり、「トレッキー」の非難の嵐に晒される事だって、充分にありえるからだ。
だから、僕も、ほとんど期待せずに見始めたのであったが・・・。



心配は杞憂であった。見事な出来映えだ。
U.S.S.エンタープライズ号はかっこよく、中学生の頃のように胸がときめいた。
カークやスポックの少年時代がとてもいい。
とくにスポック少年にはおじさんでも「母性愛」がくすぐられる(笑)。
マッコイ、チャーリー、チェコフ、ウラ、カトーなど、今作ではちょっとは名称は変わっていたりもするが、なんとなく旧シリーズの面影もある役者を起用している。
「スタートレック」といえば、「ワープ航法」「シールド防御」「転送開始」「艦隊規則」「惑星連邦」「宇宙歴××年」「航海日誌」・・・などといったそれらしい用語が出てくるが、それも懐かしく使われていた。
バルカン星、惑星デルタ、ロミュラン戦争などという呼び名に、一挙に記憶が甦る。
そしてなにより、129年後のスポック(未来から戻った)を登場させて、旧シリーズにリスペクトしたのかもしれないが、あのレナード・ニモイを登場させてくれる。感涙だ。



DVDの特典でメイキング映像があったが、J・J・エイブラハム監督は、映像技術にとても長けている。
なによりロケハンを徹底し、実写で撮る部分は極力セットを使わなかった、という。
驚愕である。そして、ワイドカメラでフィルム撮影。しかも、リアリティを出すために、カメラを監督自身が、独自なリズムで揺さぶっていたりする。びっくりだ。
鏡に反射させて、実像を撮ったり、わざとレンズに懐中電灯で光をあてて、光をぼかしたり。
もちろんCGもVFXも最新技術を駆使してポスト・プロダクション作業も優秀な連中たちがやったのだろうが、とにかく「現場で臨機応変にリアルな映像を押さえるために試行錯誤する」という姿勢が徹底しているのだ。
『スター・ウォーズ』で育った世代が、その一回り前の『スター・トレック』を、リ・イマジネーションする。
プレッシャーは大きかったのだろうが、なにより現場が明るい。単純に羨ましい。



なんのかんのいっても、要は僕は40年ほど前の、中学生の頃の記憶に戻ろうとしているのだ。
もちろん、日本での放映は、TV局の都合などで、順番を入れ替えられたり、欠落したり、いろいろあるだろう。
その後、ビデオなどで暇つぶしに見たりして、記憶が曖昧になっているのも確かだ。
でも、次から次へとアメリカのテレビドラマを見ながら、60年代の中学生の僕は、いい意味で無邪気だったのだろう。
教室で友人たちと馬鹿騒ぎをしながら、都合が悪くなると「ワープ」「転送」などといって、誤魔化していたものな。
たまたまみた『スター・トレック』に触発されながら、僕は数十年前のTVドラマシリーズのDVD版を、ぜーんぶレンタルしたくなってきた。
まだ時間がなくて、「LOFT」シリーズも後回しにしているくせに・・・困ったものだ(笑)。

















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4 コメント

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監督の (sakurai)
2010-01-23 23:12:33
姿勢に好感が持てる映画でしたね。
若い方も、○○な方も、どっちも楽しめて、満足で切る映画は、なかなかないですもんね。
って、若い人は満足したのかな。
あたしは当然○○な方ですが、感涙ものでした。
次は、(生きてるうちに・・)シャトナーを出してほしいとこです。
sakuraiさん (kimion20002000)
2010-01-23 23:19:20
こんにちは。
とても好感の持てるつくりですね。
若い人か・・・息子にでも聞いてみましょう(笑)
ワープ (かめ)
2010-01-24 08:45:13
TBありがとうございました。
テレビシリーズを見ている当時、黄色の制服、ワープ航法、転送するシーンがかっこよくて、今でも幾つかのシーンは鮮明に覚えています。
新旧のスポックは、よかったですね。ニモイが出てきたシーンでは、思わず体を乗り出しました。
かめさん (kimion20002000)
2010-01-24 09:57:39
こんにちは。

ワープ航法とか転送というのは、僕たちの遊びに影響を与えました。
ちゃんばらごっこ、忍者ごっこ、変身ごっこよりは、なんか「科学的」で(笑)

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