



昨夜は予定していたビジネスが、明日に変更された為に余裕が生じてきた。

「どうしょうか!」と妻と相談していると、
妻が「ブラジルの親戚にあたる人が、美濃加茂周辺に住んでいる」
「前々から一度会いたい」と話をしていたといった。
早速、妻が連絡をとると「すぐ合いたい」とのことであった。
住所を確認すると、私たちのいる場所からすぐ近くに住んでいた。

早速、行って、何十年ぶりかの旧交を温めた後、この道の駅、「日本昭和村」にやって来た。

この道の駅である「日本昭和村」は、この近くに来た時は良く利用している。
というのも、ここには、すばらしい入浴施設の昭和銭湯「里山の湯」があるからだ。

昨日は「秋分に日」であったせいか、1000台以上の広い駐車場が、ほぼ満車になっていた。
そのせいか、この入浴施設も多くの家族連れなどで、ごったがえしている。


「里山の湯」の建物は、鎌倉時代の武家屋敷を想像させるような、黒塗りの建物で、なんとなく落ち着きを感じさしてくれる。
広い廊下があって、その外にできた湯につかりながら、前面に広がる森を眺めていると、一日の疲れを全て忘れさしてくれそうであった。

私は特に、この外湯が気に入っている。
今日は天気も良さそうであった。

美濃加茂市内の、客先への訪問時間までは、大分余裕があった。
それまで、どこに行こうか!パンフや地図などを見ていると
美濃加茂市の隣にある八百津町に、五宝の滝があった。
そこに行ってみよう! ということになった。

早速、愛車エステイマで向かって行った。
道の駅「日本昭和村」から、国道41号線を過ぎ、R350号線に入って、飛騨川に架かった橋を渡っていると、ダム湖が見え、真ん中に島がある、島の中には、緑で覆われた寺院のような建物が見えている。

急に興味が湧き、愛車を少し行った所で停車させた。
橋にもどり、写真撮影をしていると、一人のおばあさんが通りかかった。

おばさんに、この島のことを尋ねると、「観音さまかネー ごりやくがあるから、あんたたちも御参りするといいがネー」と言ってくれた。
目の前の距離である。

この飛騨川のダム湖(今渡ダム)に浮かぶ観音さまは、小山観音(こやまかんのん)と「子授け観音」と呼ばれ、左岸にある小山寺(しょうさんじ)に属している。
小山寺は臨済宗妙心寺派の寺院で、山号は仁慈山である。

本尊は、馬頭観音、三面六臂の立像で、養蚕の守護仏とされている。
また、開運にもご利益があるといわれ、美濃三十三観音霊場第二十九札所である。


その後、かんのん橋が昭和13年に完成し、飛騨川左岸と結ばれる。


今渡ダム湖に浮かぶ小山観音堂

小山観音堂を左岸より望む

小山観音への渡り橋「かんのん橋」手前
この小山観音のある中の島周辺は、飛騨木曽川国定公園に指定されている。
小山観音には、平安の末期、木曽義仲がこの地で病死した母親の菩提を供養する為に訪れ、大波の中を小船で中の島に渡ろうとした折に、水の中から馬頭観音を背にした竜神が現れ、波を鎮めたことに、多いに喜んだ義仲が建立したと伝えられている。
現在の小山観音は、蚕の本尊としてだけでなく、無病息災、道中の安全ほか、子授けの本尊としても、人々から深い信仰を集めている。
ダムの完成によって出来たダム湖は、青柳薪水湖と呼ばれ、緑濃い樹木に覆われ、観音堂のある中の島を、水面が静かに映し出している。
ダム湖の下流にある、日本ラインの男性的な渓谷美や、激しい流れとは面白い対象をなしている。

かんのん橋より小山観音堂を望む


このように青々とした静かな水面のダム湖に、中に島があり、架けられた橋からの光景のすばらしは、なんとも言いようのないムードをかもし出している。


かんのん橋参道より観音堂
子授け観音にも伝説があった。

室町時代の永享6年(1434年)頃、近くの上蜂屋村の女性、お島が子供を授かる為に、「百日間の願掛け」を行なった。
すると、百日目の夜に白鬚の老人が夢に現れ、「唐銭を一枚飲み込めば子が授かる」という お告げを受ける。

お島は、お告げ通りにすると、男の子を授かったという。
不思議なことに、その男の子は左手に、その唐銭をにぎって産まれてきたという。
「この男の子は、観音さまの子供に違いない」と思ったお島は、小山観音を厚く信仰した。

その後、この男の子は仏門に入り、後に仁済禅師となる。
お島と仁済は、後に周元通宝300枚を溶かして、高さ一尺の馬頭観音を造り、小山観音の新たな本尊にしたという。


石段下よりの観音堂

観音堂拝殿 天上に飾っている蛇

また、現在でもこの島には、このような大きな、蛇が住みついている様で、年に何回かやってきて、境内にある木の上で、日向ぼっこをしているらしい。

参拝に訪れた人々からは、縁起がいいといわれ、大切にされているとのことであった。

信者の中には、この蛇の抜け殻が縁起がいいといって、家に持ち帰り大切にされているとの話もあった。


身代わり地蔵菩薩
このお地蔵さまは、特に水難より守護をしてくれるとのこと。異常気象の昨今、水害を心配される方は御参りして念ずれば、ご守護がいただけるかも!


撫で仏薬師如来
自分の体の悪い所を、薬師如来さまを撫でて、念じて御参りすれば、平癒すると信じられ、参拝者が後を絶たないそうだ。


美濃三十三観音霊場第29番札所

飛騨川沿いある小山寺

小山寺よりダム湖中の島にある小山観音堂を望む
通りがけに、偶然に見つけて立ち寄った小山観音、やはり、それぞれの地域には文化や歴史があり、地域の人たちと関わり、密接につながりながら、歩んできたきたことを知ることが出来る。

参拝と見学を終えた私達も、今日の快晴の天気のように、晴々した気持ちにさしてくれていた。

一時間程の短い滞在であったが、私達は満足し、次の目的地である「五宝の滝」に向かった。

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