氣まぐれ剣士の言いたい放題

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364 賢者の演奏

2006-06-19 13:01:02 | Weblog
氣まぐれ剣士の言いたい放題

364 賢者の演奏
 
「演奏にまつわる」素敵な寓話です。「時空を超えた賢者の光」(近井昭博著、星雲社)のなかから引用です。

 お抱えの奏者に皇帝はこう言った。
 「奏者でおまえに優る者はいない。世界で一番だ。しかし、おまえも誰かの弟子だったに違いない。おまえを教えた師の演奏を聴いたみたいものだ」。

 奏者は言った。
「師はまだ生きております。しかし、招くことは不可能です。
師は、空に流れる白い雲のようなもの。気の向くままに動き、流れて生きています。歌いたいときに歌い、踊りたいときに踊ります。ですから、皇帝ご自分で師の所に行き、チャンスを待つしかありません」。
 
 皇帝はどうしても会いたくなって、奏者と一緒に出掛け、師が住んでいる小屋の近くでこっそり待つことに。どれだけの時間が経ったことだろう。師が歌いだした。そして、踊り出した。

 その歌と踊りは、この世のものとは思われなかった。それは、どんな表現も賛辞も役に立たないほどのもので、皇帝は、ただただ涙を流した。
 
 帰り道、まだ涙を流しながら、皇帝は奏者に言った。
「おまえが一番だと思っていた。おまえにかなう者などこの世に存在しないと思っていた。それなのに、あの師に比べたら、おまえは無に等しい。この違いはいったい何なのだ」。

 奏者は言った。
 「それは簡単なことです。私の演奏や歌は、生活するための金、権威、名声、人々の賛辞のためです。私は何かを得るために歌い奏でます。
 しかし、師は、何かを得ているから歌い踊るのです。師の内側が何かで満ちあふれてきたとき、それは歌や踊りとなって流れ出します。
 喜びに満ちた何かが広がるだけです。師はただ祝福しているだけなのです」。

 やっぱり自分の中から何かを表現したいときに、自然と相手に伝わるのですね。氣まぐれ剣士は如何に格好良く勝つかだけを考えています。

次回もお楽しみに
以上