伊フィアットは傘下のクライスラーと経営統合後の新社名を「フィアット・クライスラー・オートモービルズ」とすることを発表した。略称はFCAで、株式はニューヨークとミラノの両証券取引所に上場する。同時に、FCAの登記上の本社はオランダ、税法上の本社は英国に置く予定であると伝えている。現在、伊トリノのリンゴットにある実務機能は継続されるが、これによってフィアットは、1899年の創業以来115年の歴史で、初めて登記上の本社をイタリア国外に移転することになる。フィアットは、今回のFCAの計画に先駆けて2012年、旧フィアット・インダストリアル社の流れをくむ商用車部門CNHインダスリアル社の登記上の本社をオランダに、税法上の本社を英国に移している。イタリア国内の反応は、さまざまだ。エンリコ・レッタ首相は訪問先のブリュッセルで「今日、フィアットは世界的俳優となった」と発言。本社移転については早急な問題ではないとし、「それよりも、フィアットによる労働市場の維持と、競争力の確保を見極めたい」と、今回の発表に好意的な見解を述べた。サッコマンニ経済大臣も本社移転に関し、「すべては法律にしたがって行われると信じている」と述べている。いっぽう一部メディアでは、「フィアットが税法上の本社を移転してしまうと、かねてより進行していたイタリア企業の海外移転が、さらに加速してしまう」と、批判的な見解を発表している。そうした意見を意識してか、フィアットのジョン・エルカン会長は、「今後も事業を継続するそれぞれの国で、的確に納税していく」とコメントしている。一般のイタリア人は、以前からフィアットが本社をクライスラー側のデトロイトか、他の国に移す可能性があることを報道で聞いていただけに、至って冷静だ。ただし前述の首相同様、「雇用が確保されれば、本社がどこになろうと問題ない」という意見と、「工場をより生産コストが安い国に移し、本社機能も移してしまえば、一時的にはよくなっても、長い目で見るとイタリアに何も残らない」と、批判的な意見の双方がみられる。FCA設立に伴い、グループの国際的生産拠点の見直しが行われるのは必至だ。生産・労働コストの高いイタリアにおいては今後、低価格小型車の生産は限定的なものになるだろう。代わりに、高価格でも売れ、かつ「made in Italy」が売りとなるクロスオーバーや、すでにイタリアで生産される予定の小型ジープ、そして従来のマセラティ、フェラーリ両ブランドは、生産増強やブランド間のシナジー効果が模索される可能性が十分にある。「ジュリア」という名になると予想されているアルファ・ロメオの新型4ドアセダンも、それに加わるだろう。そうした意味で、2014年5月初旬に発表される長期経営計画が注目される。
現在、伊トリノのリンゴット街区にあるフィアットS.p.A.本社
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