相模屋を後にし、次は西山温泉の老沢温泉旅館を目指します。ここは福島に来るたびに電話で問い合わせていますが、いつもタイミング悪く、「今日はやってない」、「今日はもう終わり」などと断られ続けた因縁?の温泉です。今日は元旦ということで駄目もとでいつものように電話したところ「あ~いいですよ」とのこと。念願の老沢温泉旅館の温泉についに入れる日がきました!それにしてもこの旅館、ほんとに客商売?と思えるほどの電話対応。旅館ではなく、まるで普通の家に電話してるような話ぶりです。と言っても決して横柄というわけでは無く商売っ気がまるでないという意味です。
ナビを頼りに進んで行くと、道はどんどん心細いものとなり周囲の積雪も増してきます。辿り着いた西山温泉は、温泉宿が数軒あるものの、隠れ里のようにひっそりとしたした佇まいです。元旦だというのに人も車も全くいません。俗世から隔離されたような本当に静かな場所です。
老沢温泉旅館は、本やネットで事前に知ってはいたものの、建物は旅館というより“道場”といった感じです。玄関をあけると、目の前が家人の居間となっており、おばあさんがぽつんと1人テレビを見ています。まるで田舎のおばあちゃんの家にでも来たような感じです。電話をした者ですと告げ、入浴料を払い中に案内されます。
温泉は旅館裏手の沢に面した場所にあり、やたら沢山カレンダーが吊るしてある階段を下っていきます。良く見るとまだ12月のままです。このカレンダー全部取り替えるのも結構な手間だと思うのですがなぜこんなに沢山あるんでしょう?
階段を降りるとすぐそこが脱衣所となっています。風呂は混浴で、脱衣所もひとつなので、女性は入りづらいかもしれません。歴史のある温泉らしく壁にはいろんな額が飾ってあります。柱掛けの温度計表示は、屋内にもかかわらず1℃。寒いわけです。
写真では湯気にけむり見えませんが、窓を開けて中に入ると、一番奥に温泉神社が鎮座し、遠い昔から温泉を大切に守ってきた雰囲気がビシバシと伝わってきます。長方形のコンクリ製の浴槽が3つ並ぶ様は、例えが悪いですがまるで棺桶のようで、なかにミイラさんでも入っていそうな雰囲気です。
入り口から見て一番奥のほうから温泉が供給されているため奥の浴槽が一番熱く、手前に来るほどぬるくなるという仕組みです。源泉温度が高く加水ナシの為、手前の浴槽でも激熱です。しかし、念願叶ってやっと入ることのできた温泉ですから、やはり温泉神社に一番近い鮮度の良い浴槽に入りたいのが人情です。ひたすらかき混ぜ入浴を試みます。
熱さをこらえていざ入浴です。薄緑色の源泉はいかにも素性が良さそうです。湯の花は、なんとも形容しがたいですが、筋状の玉子スープとでもいうのでしょうか、感触といい見た目といいちょっとグロテスクです。源泉を口に含むとお吸い物のようないい味で、そのまま食卓にあがっても結構いけそうなおいしい?源泉です。
湯気に霞む温泉神社といい浴槽のカタチといい、なんとも不思議な温泉です。他に入浴客もいなかったため沢に面した窓を全開にし外の雪景色を見ていると、このままここに逗留したい気分になります。かなりいい温泉です!次は泊まりで来たいです。
西山温泉 老沢温泉旅館
福島県河沼郡柳津町五畳敷老沢114
0241-43-2014
※入浴料400円
※不定休で立寄り入浴の時間も日によって変動したりするので事前に問い合わせることをおすすめします。