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ワレフスカのチェロを聴くプレミアム・リサイタルが、東京で、たった一日だけ開催されます。

2019年02月20日 13時42分44秒 | ワレフスカ来日公演の周辺

 

 不確定な「可能性」の話として聞いていた日本で久しぶりに行われる「クリスティーナ・ワレフスカ」のチェロ・リサイタルが、実現することになったと聞いたのは、今年に入って数週間経ったころだったと思います。もちろん、ピアノは「福原彰美」です。来月、3月23日(土曜日)午後2時からのマチネ公演、場所は渋谷の「オーチャード・ホール」です。主催は「ビルボード・ジャパン」ということです。

 詳しいいきさつは聞いていませんが、このところ、台湾の財団の関係者に熱心なワレフスカの支援者がいることから、ひんぱんに台湾でのコンサート・ツアーが実現しているので、その途上での立ち寄りが急に決まったということではないかと思います。もう70歳を越えて、高齢に差し掛かっている彼女ですから、航空機での移動に負担もあり、ひょっとすると、「ワレフスカのチェロ」の、あの途方もなく豊かで大きな音楽を聴く機会も最後になってしまうかもしれないな、と、ふと思ってしまいました。たった一日の日本でのリサイタルです。

 じつは、このリサイタルへの「推薦文」を寄稿しました。先日、後援の朝日新聞紙面にも大きな広告が掲載され、そこにもありますから、既にご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、当ブログへの掲載のご了解をいただきましたので、以下に掲載します。ビルボード・クラシックのホームぺージに掲載されているものとも共通です。

 


〈ネオ・ロマンティシズム演奏〉の到来

音楽文化史家・音楽評論家 竹内貴久雄

 

ワレフスカが世界の音楽市場に華々しく登場したのは1970年代初頭である。世は正にレコード全盛時代。「スタジオで録音される音楽」は、次第にミスのない正確なアンサンブル、精緻で解析的な演奏の誘惑に侵されていった。しかも、二度にわたる大戦以後、私たち鑑賞者の世界も、感情の自由な発露であるはずのロマンティシズムへの懐疑に向かっていた。そんな時代の変化から距離を置き続けて自らの「無垢な音楽」を守り抜いていたワレフスカが、36年ぶりに日本に姿を現したのが2010年の来日コンサートだ。その日ピアノを担当した福原彰美は、ワレフスカの二回り、三回り後の世代という若さだったが、以来、このコンビは不動のものとなった。当時、福原が呟いた「ワレフスカさんの大きな音楽に随いてゆくのに夢中だった」という言葉にこそ、世界のレコード市場から身を引いてワレフスカが守り抜いた振幅の大きな音楽と、それを全身で受け止められるピアニストの感性との〈生体反応〉が凝縮されている。私は、この二人が奏でる音楽に、演奏芸術における「ポスト・モダン」の先にもあるはずの「ネオ・ロマンティシズム演奏」の到来を確信している。


【追記】

本日のブログUPは、だいぶ前にカテゴリー分けしておいた「ワレフスカ来日公演の周辺」に収めました。タイトル下の「カテゴリー」欄にカーソルをクリックすると、文中の「奇跡の来日」など、一連のワレフスカ関連文が読めます。ひとりでも多くの方が、ワレフスカの音楽に触れていただけることを願っています。

 


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