日常のあれこれをそこはなとなく

料理、わんことの日々、海外ミステリを中心とした読書、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。

特捜部Q檻の中の女

2017-08-16 05:06:24 | 読書
ユッシ・エーズラ・オールスンの『特捜部Q檻の中の女』を読みました。



ヘニング・マンケルにはまっていましたが、例によって翻訳分は読み尽くし、長い夏休みを前に何を読もうか迷いました。イギリスやアメリカの定番シリーズにしようかと思っていましたが、本屋に行って比較的手に入りやすいこのシリーズにしました。舞台はデンマークのコペンハーゲン。相変わらず北欧にとどまっています。

同僚3人と一緒に銃撃を受け、一人は死亡、一人は全身麻痺という中、唯一無事だったカール・マークは、警察内に新しく設けられた特捜部Qの責任者を任せられます。過去の未解決事件を再捜査する部署です。ただし、この部署には人手が足りないため、アシスタントのアサドだけが配備されます。銃撃のトラウマと戦いながらカールは、過去の事件の洗い直しに着手します。



カールとアサドは、ミレーデという美人政治家の自殺事件を取り上げます。障害のある弟とフェリーに乗っていたミレーデは突然姿を消します。死体が発見されないまま、この件は自殺とされていました。カールとアサドは丁寧にミレーデの周辺を洗い直します。何しろ過去の事件なので、操作は難しいです。ところが、あるきっかけから事件は思いがけない展開を見せます。

カールとアサドの人物造形が抜群です。妻に出ていかれたさえない中年のカールは、凄腕の警部補です。過激な物言いであちこちとぶち当たりますが、捜査はぶれません。アサドは自称シリア人ですが、こちらも細かな点によく気がついて操作を進める頭脳の持ち主です。このコンビが、埃のかぶった事件に新しい光を当てて行くのは痛快です。雨ばかりの8月で、どんどん読めてしまいました。
コメント
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