退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 2

2015-05-15 05:33:36 | 韓で遊ぶ


博物館であったこと

いつも観覧客で混んでいる大きな博物館であったことです。
昔の名画が展示されている部屋に、背の大きな中年の紳士が一人、入って来ました。
ですが、その人は、なぜか絵の前に行くと膝を曲げて中腰の姿勢になるのでした。そうしては、目の高さよりずっと上にかけられている絵を、いろいろな方向から見るのでした。
その姿を見た博物館の警備員たちは、怪しいとひそひそ言いました。
「あの人、何であんな事をしているんだ。」
「本当に、ちょっと変だ、、、」
誰が見ても正常な行動ではありませんでした。他の観覧客も彼のおかしな行動を見てひそひそと言いはじめました。
「お、あの人、何だ。」
「本当に、」
ある団体の青少年は話をしながら何気なく通り過ぎようとした時、紳士にぶつかって転んだりもしました。
「あ、これは、すみません。」
「大丈夫です。大丈夫。」
彼は人の視線のようなものは気にすることなく、すべての絵を同じ中腰の姿勢で見た後悠々といなくなりました。
疑問は次の日に解けました。
ある小学生の団体が博物館の展示室に入ってきたのでした。
ざわざわと騒ぐ子供たちの中に昨日のあの背の高い紳士がいたのでした。彼は子供たちを引率して、一つ一つの絵の前に立ち止まり、やさしい低い声で絵の説明をしてあげていました。
二人の警備員は、それでやっと互いに目を合わせてうなずきました。
「ああ、どうりで。」
「ああ、そうだったのか、そうだったのか。」
これでやっと意味がわかったというような表情でした。
「みんな、絵を鑑賞する方法はいくつかありますが、それはですね。」
背の高い紳士の説明が続きました。
小学校の先生である彼は、子供たちの目の高さで絵がどのように見えるのかを知るために、人々の視線を一身に受けて中腰の姿勢で前もって絵を鑑賞していたのでした。

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