幸福な椅子
「春陽木」という木を知っていますか。松の木の中でも第1級品として、昔は国で特別な管理をしていた程の銘柄の木です。私は、そんな貴重な松の木でできた座卓でした。20年を超えて、金持ちのおじいさんに愛されて生きてきたある日、おじいさんが亡くなり、私は一日にして哀れな身の上になりました。その息子が遺産として受け取った家を売って、私を道端に放り出したのでした。自尊心が傷つきました。肩書きが春陽木でできた座卓をごみ扱いするとは、悲惨な思いがいました。
「あ、こんなしていたら、永遠にごみになってしまうかもしれない。」
誰も私を見向きもせず、意気消沈していた頃、銀髪のおじいさんが私の前で足を止めました。そして私を撫でながら言いました。
「少し、待っていろ、、、すぐに戻ってくるから。」
やっと私のか価値を知る人が現れ、鼻高々にしていたその時、、、、。おじいさんは私を古びたリヤカーに積んでどこかに向いました。
「おお、おじいさん、私をどこへ連れて行くのですか。」
おじいさんが私を降ろしたところは、バスの停留所の前にある木工所でした。若い職人たちは、私を頭の痛い厄介者扱いをしました。おじいさんはどこかに使うところがあると言って、かんなをかけて釘を打って私の手入れをしました。1日、2日、3日、時間が流れるにしたがって、私の姿を見ながら、おじいさんの口元に笑みが広がりました。
「ほほほ、、、。」
とうとう4日目になった日。おじいさんは、座卓から長いすに変った私を、バスの停留所のプラタナスの木の下に出しておきました。
「誰が好き好んで自ら苦労をするだろうか。おじいさん、私は、本当に。」
それはブツブツ文句を言う職人よりも、私にとっては気に入らないことでした。
「こう見えても、私はわが国最高の春陽木なのに、どうして、こんなところでほこりを被っていさせるのか、あー、、、。」
ですが、時間が過ぎるにつれて、私はおじいさんに感謝しました。バスに乗りに来た人たちにとって、私がこの上なくありがたい椅子だったからでした。
「わぁ、本当に素敵な椅子だね。どれ一回座ってみようか、、、、。」
特に苦労している人たちは私をもっとありがたがりました。
「あれまあ、足が痛かったから丁度良かったわ。ここに椅子ができたから、しゃがみこまなくていいから本当にいいね。」
誰かの力になるということが、こんなに満足感があり幸福なことだとは、、、、。やっと自分のいるべき場所を見つけた私は、世の中で最も幸福な椅子です。









