海の上のカモメ
ひっそりとした海辺のカフェで、二人の画家が出会いました。彼らは世界でも屈指の実力者で、香り高いお茶を飲みながら絵に対して多様な考えを交換しました。長い話の終わりは、二人の約束で締めくくりました。世の中で最も美しい場面を絵に描いて、一年後に同じ場所で会うことを約束したのでした。
「1年後に会おう。」
「はははは。」
いつの間にか約束の時間が流れ、二人の画家はうれしく再会しました。ですが、各自の作品を広げてみた二人は、驚きを隠すことができませんでした。二人が絵で表現した世の中で最も美しい場面が、全く違っていたからでした。一人の画家が先に話を切り出しました。
「私は美しい夕焼けの中、日が沈む平和な田舎の村の情景を描いたよ。」
夕焼けが赤く染まった村は、かわいい子供たちが仲良く飛び回って、黄金色の野原には勤勉な農夫たちが、汗を流して農作物を収穫していて、、、、。その懐かしい田舎の風景が、先に口を開いた画家の目には、世の中で最も美しい姿だったのです。
「だが、君の絵は全く意外だな。こんな荒い姿がどうして美しいのだ。」
不思議に思っている相手に、もう一人の画家はこう説明しました。
「私も、はじめは君と同じような絵を描いたよ。」
ですが、ある日、静かな海辺の風景を描いていた最中、暴風雨に遭遇しました。雨風が強く吹きつけ、波も強く押し寄せ、真っ暗な夕方の海、、、、。急いで避難しようと思った時、彼の目にぴかっと光線が走りました。すぐにでも海に飲み込まれそうな岩の上にスーッと立って波を受けているカモメ一羽。
「あ、これだ。」
そのまま家に帰ってきた彼は、前に描いた絵をひとつも残さず破りました。そして、すぐに目に焼きついたカモメの姿を描きはじめました。
「君が描いたのは雨風が吹けば倒れる美しさだ。だけど暴風の中のカモメは、最も辛い瞬間を屈せずに耐えているのだ。それが正にどんな場合にも倒れない本当の美しさだ。」
危機に面した時、その瞬間を逃げないで恐怖に立ち向かう勇気。それが正に人生の価値を光らせる本当の美しさだったということです。









