美しさを見る目





古代ギリシャの乞食の哲学者として名高いタオゲネスは、清廉に徹して貪欲から身を遠ざけた思想家でした。服1着と杖がすべてのさすらいの哲学者タオゲネス。
ある日、彼が村で一番の金持ちの家に招待されました。金持ちはケチなことこの上ない守銭奴でした。財宝を集めることは知っているが、良いことに使うことを知らない成金でした。彼が財布を開く唯一の瞬間は、家族のためだけでした。そんなに欲の深い金持ちの招待を受けたタオゲネスは、宮殿のような家の中に入って行きながら言葉を失いました。大理石で作られた室内、光り輝く家具と金色の装飾品、、、、。タオゲネスが驚きの表情をするなり、金持ちは思いました。
「ふん、天下のタオゲネスも、私の華麗な家を見てうらやましいようだな、、、。」
ひときわ浮き立った金持ちは、長々と財産の自慢をしました。
「私は手段と方法を選ばないでお金を集めた。そして1文も使わなかった。絶対に財布を開かなかったということだ。お前も私の金庫の金銀財宝を見れば目を丸くするさ。ははははは。」
金持ちの話に特に変わった反応のなかったタオゲネスが、急に周囲を見回し口をもぐもぐさせ始めました。そうしていたかと思ったら金持ちの顔にペッとつばを吐きました。
「うっ、何をするんだ。」
金持ちがカッとすると彼が笑いながら言いました。
「すいません。実はさっきからつばを吐きたくて、家の中があまりにきれいで立派だから、つばを吐くところがなかったもので、、ほほほ。」
彼は金持ちの顔を指差しながら話を続けました。「ですが、つばを吐くところが1箇所だけありました。それはあなたの顔です。欲に満ちたあなたの顔こそゴミ箱と同じではないですか。ははは。」
タオゲネスの鋭い指摘に胸がチクリとした金持ちは顔を赤くしました。
美しい外見よりも人間的な行動がより光を発し、華麗な外見よりも真の内面がより価値のあるものだということ、、、、。他人を尊重し愛する心が、世の中を明るくする真の美しさだということです。









