退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 9

2015-08-25 16:44:54 | 韓で遊ぶ


人生最高の贈り物
何日か後に近づいた私の誕生日のために準備したと言って、夫が列車の切符を4枚差し出しました。結婚して、はじめて迎える私の誕生日は、夫と二人だけで旅行に行きたいと思っていました。
「君の誕生日、土曜日だね。友達と楽しく旅行に行っておいで。僕が連絡をしておいたから。ホテルも予約したし、、、。」
友達との旅行が嫌だということではなく、正直、寂しいという言葉の他に言葉がありませんでした。二人だけのほのぼのとした時間を期待したので、不満そうな表情でいると夫がなぐさめて言いました。
「実は、週末に大事なことが入ったんだ。少し後に時間をとって一緒に行こう。ね、へへへ。」
私の誕生日よりも大事なことが何があると、まるで古い履物になった気分でした。
「あーぁ、、、」
列車の予約からホテルの予約まで、夫の旅行の贈り物は何一つとがめるところがありませんでした。
「あなたの、だんなさん最高だわ。どうしてこんなにまめなの。」
「あなたいいわね。うらやましいわ。うらやましい、、、。」
友達は口を揃えて褒めてくれましたが、電話ひとつない夫のせいで私の気分は最低でした。
「一体、何事で電話もないの、、、あんまりだわ。」
次の日の夕方、旅行を終えて家に帰って来ましたが、夫の姿は見えませんでした。誰かにでも傷ついた気持ちを吐き出さないと気持ちが治まらないようでした。私は田舎にすむ母に電話をかけました。
「お母さん、ひどいのよ。結婚してはじめて迎える誕生日なのに、一緒にいなきゃならないと思わない。ふぅ、、、。」
「実はだね、、、彼は、昨日、私と一緒にいたんだよ。」
私は、しばし受話器を持ったままボーっとしました。母の説明はこうでした。
「昨日、彼が連絡もなく来たんだよ。」
夫は約束もしないで急に訪ねてきて、母を立派なレストランに連れて行き、高い夕食をご馳走し、一緒に劇場にも行ったということでした。そして、母が娘の誕生日に私がいい思いをするねと言うと、急に夫がさっと立ち上がり大きな礼をしたということでした。
「お義母さん、妻のようないい人を産んでくれてありがとうございます。お義父さんもいなくて一人で大変だったでしょ。お義母さんは私に生涯最高の贈り物をくれました。だから、今日は妻ではなくお義母さんに感謝するのが正しいと思いました。妻を友達と旅行にやったことも、今日ぐらいはお義母さんとほのぼのとした時間を送りたいと思ったからでした。
そんなに深い意味があることも知らず、私は夫を恨んだ悪い妻でした。夫の純粋な愛を受ける気分は、、、何と言うか、心に春が来たという気分というかしら。
私の人生最高の贈り物が夫ならば、私の人生の最高の奇跡は夫に出会って結婚したことです。
コメント
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