退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 9

2015-08-17 06:03:27 | 韓で遊ぶ



息子にもらったお年玉
去年の正月でした。久しぶりに夫の実家に帰省するする道。私は全く楽しくありませんでした。その間、仕事ばかりしなければならないのがわかっていましたから。
夫の実家には、嫁に行っていない娘が3人います。ですが、姑の監督下で台所の仕事をする人は、私一人だけです。若い小姑たちが手伝ってくれるとか、男の人が手伝ってくれるとか、、、誰一人、気を使ってくれる人はなく、多くの台所の仕事はいつも私の仕事でした。
去年の正月も、絶える事のない客をもてなすために家の中を走り回っている時、小姑たちは思いっきりおしゃれをして友達に会いに出かけました。
「お姉さんごめんなさい。大事な約束があって、、、。」
「この次は必ず手伝うから。」
きれいな姿の小姑たちと、くたびれた格好の自分が目について比較されることだけでも悲しいのに、幼い息子の心無い言葉まで飛び出し私の腹は煮えくり返りました。
「お母さん、お母さんも叔母さんたちみたいにきれいな服を着てよ。お母さんだけ洋服、きれいじゃないよ。」
瞬間、自分でも知らずに険しい言葉が飛び出してしまいました。
「今、お母さんをからかっているの。どうでもいいことを気にかけないで、あっちへ行って遊んでいなさい。さっさと。」
私の過敏な反応に息子は泣き出しました。怒られて気落ちした息子は、おじいさん、おばあさんにお年玉をたくさんもらっても、不満そうな顔でした。正月から怒ったことが気になりましたが、息子をなぐさめるには私があまりに疲れていました。
疲れた体を引きずって家に帰ってきた私は、そのまま眠ってしまいました。そして真夜中になって目をあけた時、枕元に置かれた白い封筒が見えました。
下手な字で「お母さん」と書かれた封筒の中には、10万ウォン分の紙幣と息子の手紙が入っていました。
「お母さん、僕のお年玉、全部上げます。このお金できれいな服を買って着て下さい。叔母さんたちがきれいな服を着て遊びに行くのに、お母さんは仕事ばかりしていて胸が痛かったです。お母さんもきれいな服を買って着て、お父さんと僕と遊びに行きましょう。お母さん大好き。」
母の悔しさをなぐさめてくれようと、自分のお年玉を惜しみなくプレゼントしてくれた息子、、、。その年の正月、私がもらった最高の幸福は美しい息子の心でした。
コメント
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