退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 9

2015-08-15 06:48:49 | 韓で遊ぶ


大人のためのクリスマスプレゼント
8歳の少年ホンソクにとって、クリスマスは1年で一番うれしい日です。クリスマスを数日後に控えたある日、窓の外に降る雪を眺めながらニコニコ笑っている息子ホンソクを、いとおしげに見つめている父が聞きました。
「何がそんなにうれしいの。」
「もうすぐクリスマスじゃないの。サンタクロースからプレゼントをもらう日だよ。へへへ。」
狭い部屋の隅で静かに本を読んでいた2歳違いの兄が、弟をたしなめました。
「お前はサンタクロースをまだ信じているのか。馬鹿だなあ。サンタクロースは大人が作った話だ。」
サンタクロースを信じているのに、それを打ち消す兄の一言にホンソクが泣きそうになると、父がなだめました。
「ホンソクはどんなプレゼントがほしいんだ。」
「変身ロボット。へへ。」
ホンソクの沈んでいい顔が、明るくなりました。
息子の素朴な願いひとつを聞いてやることのできない父親は、胸が痛みました。その日の夜、父は肩を落として家に帰って来ました。
「あなた、今日も仕事が見つからなかったの。」
冷気が漂う一間の家で、父と母はやっとの暮らしが心配で、大きなため息をつきました。
「、、、、お前、腰のほうはどうだ。」
「変らないわね。早く良くなって私でも食堂に出なければならないのに。」
すでに何ヶ月か仕事を見つけることができずに街をさまよっている父、きつい食堂の仕事をしていて滑って転んで腰を痛めた母、、、、。
貧しいホンソクの家にも間違いなく訪れるクリスマスイブの晩、ポケットが空っぽの父が息子のために準備したプレゼントは、飴一袋でした。変身ロボットは買ってあげられないが息子の夢まで壊したくなかったのでした。
皆が眠った遅い時間、父はホンソクが枕元に置いた靴下を取り上げました。その中にはすでに何か入っていました。ホンソクがサンタクロースに書いた手紙でした。父と母の目頭を熱くしたホンソクの手紙、、、。
「サンタのおじいさん、僕はホンソクです。今年は去年よりずっといい子だったから、プレゼントを二つもらったらダメですか。その代わりプレゼントは父さんと、母さんに下さい。父さんにはいい仕事を下さい。母さんには痛くない腰を下さい。お願いします。」
ホンソクが果たして両親の会話を聞いていたのでしょうか。
その年のクリスマス、、、両親は幼いホンソクから大きなプレゼントをもらいました。大人になってはじめてもらったクリスマスプレゼントは、暖かい希望でした。
コメント
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