退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 7

2015-08-08 06:27:10 | 韓で遊ぶ


5年ぶりの客
少し前に意外な電話を受けて胸につきあがるものがありました。
全く思いもかけないことだったので少なからず動揺しました。
「もしかして、私を覚えていますか。5年前インターネットカフェに文章を投稿した母親です。」
その言葉を聞くなり、5年前のことをぼんやり思い出しました。5年前、私が加入していたあるインターネットカフェに、一人の母親が苦しい事情を寄せたことがありました。
夫が急に死んで、子供を育てるのが大変で、暮らし向きも大変で助けてくれという内容でした。
嘘なのか本当なのか、会員たちの間で論議は起こりましたが、友達と私は本当だというところに意見をまとめました。
私たちは、すぐに子供用品を買って母親に送りました。
見返りを求めてしたことではありませんでした。ただ、快く受け取ってくださいというメールは送ってあげました。ですが、何の連絡もないとだまされたのかしらという思いもして不愉快になりました。
ですが、それから5年ぶりにその母親が会いたいと言う連絡をくれたのでした。
電話を受けた週の土曜日の午後、母親はいつの間にか大きくなった子供をつれて私の家に来ました。初対面だったのですが不思議なほどになじみのある思いがしました。
「私の電話でひどく驚かれたでしょ。電話番号が変わっていなくて本当に良かったです。」
彼女は、あの時は本当にありがたかったとお礼を言いました。そしてこの間の暮らしを少しずつ話しました。
夫が急に亡くなった後、赤ん坊と共に生きていくのが漠然としていた頃、彼女はわらでもすがる思いでインターネットカフェに文章を載せたと言いました。
思いもよらずネット仲間が物心両面で支援してくれたおかげで元気を取り戻したと言いました。
「本当に、期待もしていませんでした。ですが多くの方々が助けてくれたんです。私にとってどれだけ大きな力になったかわかりません。」
あまりにも大変で疲れていて感謝の挨拶も全くする余裕が無かったと言いました。それで遅くなっても必ず恩返しをするために連絡先を残しておいて、やっと今になって一人一人訪ねていると言いました。
「これは私が焼いたクッキーです。少ないのですが私の気持ちだと思って受け取ってください。」
おいしそうなクッキーがいっぱいに入った箱には、息子と共に撮った写真が1枚入っていました。写真の中には感謝の文章も書かれていました。
「私の家族の笑顔を守ってくれた、すべての皆様に心からお礼を申し上げます。」
5年前の返事のないことに寂しい思いをしたことをすまないと思うほどに美しい贈り物でした。小さな種ひとつが多くの実を結ぶように、人の小さな真心がひとつ二つと集まって母親の心に希望の芽を育ててあげたということです。そして5年の間、その感謝の心を持って遅ればせながら助けてくれた人々を訪ねる彼女の勇気に拍手を送りたい。
コメント
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