退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 2

2015-05-20 07:03:54 | 韓で遊ぶ


水、コップ一杯の許し

皆が貧しい時代でした。
食べるものがなく、学校で粉ミルクや乾パンを配給してくれた頃、それでも、いつも足りなくて、私たちはいつもお腹をすかせていました。それでついには、軒下のツララまで食べていた頃、いつかミルクでも乾パンでも思いっきり食べるのが皆の願いでした。
そんなある初冬の午後、掃除当番だった私は、友達と意気投合して給食倉庫の戸を開けて入って行ってしまいました。
ドキドキと、心臓の音が鼓膜を突き抜けるような緊張の中で、私たちはそれぞれポケットいっぱいに乾パンを入れて、ミルクの袋に頭を突っ込んで粉ミルクを食べました。
「ゴホン、ゴホン、ゲェ。」
乾いた粉をむやみに口に入れてみると、乾いた咳が出ない訳がありません。その瞬間、よりによって倉庫の前を通り過ぎた先生に、私たちは身動きもできないまま捕まってしまいました。
「何だ、お前たちは。」
私たちは乾パンを口に入れたまま運動場を回ることになるだろうと、重い足取りで職員室に呼ばれました。
ところが意外な状況が起こりました。
「お前たち、乾いた粉を食べて喉に詰まったらどうするんだ、さあ、まず水を飲みなさい。」
「先生、、、。」
その後、先生がどんなことを言ったのか覚えていません。
ただ鼻の奥がツーンとして、胸がドキドキしたのを覚えています。
その時、私は心に決めました。
大きくなったら先生のような先生になろうと。
先生はムチの代わりにコップ1杯の水で私たちに人の道を教えてくれたのでした。
コメント
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