退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 2

2015-05-18 19:58:17 | 韓で遊ぶ


天国と地獄の間

彼は熟練したタクシー運転手です。
今日も彼は都心を注意しながら走っています。
「どちらまで。」
「光化門まで。」
事業に失敗して借金まみれのところに、妻まで病魔に奪われた、とても不幸な男。
そんな彼が絶望を耐えてタクシーの運転をするのは、まだ幼く年端の行かない子供たちのためでした。今日も彼は軽快に客に挨拶をします。
「ありがとうございました。」
フロントガラスにぶら下がっている家族写真。彼は客を乗せたり降ろしたりして、いつもその写真を見ました。回転椅子に座ってお金の束を転がしていた昔のことは忘れて久しいです。昔に比べればはした金には過ぎないけれど、タクシーの運転というのは交通地獄をさまよう苦しいことですが、1文2文と集めて借金を返す楽しみで、休む日もなく煤煙の中を走っていました。
そんなある日、一人のおばさんの乗客が封筒を置いて降りてしまいました。
「お、これは、おばさん、おばさん。」
急いで呼びましたが、おばさんは急ぎ足で行って見えなくなってしまいました。仕方なく封筒の中の内容物を確認した瞬間、彼は驚きました。乗客が置いて下りた封筒の中には、いくらかもわからないくらい大きな額のお金の束が入っていました。ドキドキする胸を落ち着かせることができず、しばらく車を降りてタバコを一本吸いました。彼は弱くなりました。お金のためにちゃんとした治療を一度も受けられずにあの世に行った妻、肩にずっしりと乗った借金の山、いい服を着せることもできず、おいしいものを食べさせることもできないかわいそうな子供たち。
「このお金があれば人生が変わるかもしれない、、、このお金があれば、、、」
封筒を穴が開くほど見つめした。呆然と座って見て、立ち上がって握りこぶしをぎゅっと握って見て、彼の心の中で欲望と良心が前になったり後になったりして戦うこと数時間、、、、。
ですが、彼は急にまたタクシーに乗りました。黄色の封筒を片手にぎゅっと握って、、、、。いつもより少し早く車を運転しながら彼が着いたのは近くの派出所でした。しばらくして警察から連絡を受けたお金の持ち主が、靴を履くか履かないかわからないくらい慌てて走って入って来ました。
「あれまあ、助かったわ。助かった。ふぅ、大変なことになったと、、、、ありがとうございます。」
おばさんが、ありがたくて、どうしていいかわらなくて挨拶をしましたが、彼は淡々と答えました。
「いいえ、間違いがないか確認してください。」
是非、謝礼をしたいと言うおばさんに彼が言いました。
「半日の間、天国と地獄を12回以上行ったり来たりしました。やっとさっぱりしました。」
彼はしまいには1文の謝礼金も受け取りませんでした。何よりも子供たちに堂々とできる父親でいたかったのでした。
コメント
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