退屈しないように シニアの暮らし

ブログ巡り、パン作り、テニス、犬と遊ぶ、リコーダー、韓国、温泉、俳句、麻雀、木工、家庭菜園、散歩
さて何をしようか

幸福な世界 2

2015-05-09 05:43:45 | 韓で遊ぶ


雨が降る日の傘

私は雨が降ると、まず心配になります。
私は身体に障害がある子供の母親だからです。
「雨が降ると、いつもよりもっと大変な1日になるのに、、、」
少しでも曇ったりすると、こんな心配な気持ちになりました。その日も雨が降るなり、いつものように子供は駄々をこねました。
「やだ、やだ、行きたくない。あんあんあん、、、、」
身体が思ったように動かなくてかんしゃくをおこす子供を、やっと特殊学校へ送り出しても、私の心配は続きました。
いつも手のかかって大変な子供のかんしゃくは、天気が曇ればよりひどくなって、雨が降る日には、寝転がって泣き続け、疲れきって寝てしまう程でした。だから、雨の降る日には間違いなく子供の出席簿には赤線が引かれ、私は一日中、子供をなだめようと疲れて気力が尽きる、そんな状況でした。
そんなある日のことでした。
何日か天気が良く、学校で行くという団体映画観覧に何の心配もなく送り出しましたが、到着する時間ぐらいに急に夕立が降りだしました。
「お、これは、どうしましょう。」
傘を持ってあたふたと家を出た私は、停留所の近くに車を止めて、子供が来るのを待ちました。
その時、閑散としていた町外れのバス停留所に、人が一人二人と出てきました。皆1,2本ずつ傘を持った人たちで、あっという間にバス停留所の周辺がいっぱいになりました。
その人たちは、皆子供たちを迎えに来た先生たちで、バス停留所は黄色の傘、青い傘、、たくさんの傘で市場のように混みました。
私は涙が出ました。
間もなく子供たちを乗せたバスが見えました。
バスが止まり子供たちが一人二人と降りるごとに、傘を持って待っていた先生たちが、さっと抱いて下りては傘をさしてやりました。
ひどくダダをこねる子供たちを暖かくなだめながらです。
最後にバスから降りる息子にも担任の先生が手を差し伸べました。
息子はうれしそうに笑いました。そして先生にしっかりと抱きつきました。
雨足が強く、傘を持っていても、びっしょり濡れていましたが、私は車から降りませんでした。
先生の愛が、子供を春の雨のように包んでくれていて、どうしても出て行くことができなかったのでした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする