退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 2

2015-05-02 06:17:09 | 韓で遊ぶ


そうだ、、かわいいねぇ

静かな寂しい週末の朝でした。
一人で暮らしている家に電話がかかってきました。
「お義母さん、午後に伺いますから。」
この前、家族に迎えたばかりの嫁でした。息子夫婦は、毎週、宿題のように家に立ち寄って、私も決まった日課として嫌ではなかったのでした。
「ピンポン。」
息子と嫁が来たのかチャイムがなりました。
「お義母さん、こんにちは。」
「おお、よく来たね。疲れているだろうに。毎週、来なくても、、」
「お義母さんに会いたいから、そうはできないわ。」
口の調子もいい嫁の視線が、私が一人で取り出して見ていたアルバムに釘付けになりました。
先立った夫が海辺で格好よく立っている姿、裸で立っている子供たち。アルバムには家族の曲折の多い半世紀がそのまま入っているのでした。
嫁は何よりも自分の新郎の裸ん坊の写真を見て大はしゃぎでした。
そうしていたら急にアルバムのビニールをはがして写真を取り出しました。
私は驚いて訊きました。
「あら、写真をどうして。」
嫁は当然なように答えました。
「もらっていこうと思って。私たちのアルバムに入れないと。」
瞬間、気持ちがガクンと崩れました。
嫁は写真をカバンに入れ、私は息子を連れて行っただけでは足りなくて、今度は写真まで奪っていくみたいだと、寂しさこの上ない気持ちでした。
息子夫婦がそうやって帰った後、息子なんて子供の頃だけだわと、くどくど繰り返していたある日、嫁が訪ねてきました。
「お義母さんにあげたい物があってちょっと立ち寄ったの。」
「私に。」
笑いながら嫁が出したものは、息子と嫁、二人が生きてきた痕跡がすてきに編集された額でした。
「こんなにちゃんと育ててくれてありがとうございます。私たち一生懸命、生きていきます。」
その短い文章を読んで、暖炉に火をいれたように胸が暖かくなりました。あえてなんでもないような素振りで受け取りましたが、なぜか涙が出て、、、
「そうだ、、かわいいね。、」
私は決して大事な息子となくしたのではなかったのです。賢くてかわいい嫁をもらったのでした。
コメント
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